Contents
- 1 ポリアセタール樹脂原料ペレット(POM Pellet)とは
- 2 まずはここだけ見ればOK|POMの“推奨グレード方向”クイックガイド
- 3 POM樹脂|主要メーカーの強みを一目で比較
- 4 グローバルポリアセタール株式会社(Iupital™ / ユピタール)
- 5 旭化成(TENAC™ / TENAC™-C|テナック)
- 6 ポリプラスチックス(DURACON® / ジュラコン)
- 7 Celanese(Hostaform® / Celcon®)
- 8 Delrin®(アセタール・ホモポリマー / H-POM)
- 9 BASF(Ultraform® / POM)
- 10 SABIC(POM / SABITAL™)
- 11 Global Polyacetal / KEP(KEPITAL®)
- 12 KOLON(KOCETAL®)
- 13 用途別|POMグレード選定のチェックリスト
- 14 よくある質問(FAQ)
- 15 関連ページ(あわせて読む)
- 16 なぜPOMが選ばれるのか?|5秒で分かる材料ポジション
- 17 POM vs 他エンプラ|用途起点の早見比較
- 18 他素材も比較したい方へ
- 19 POMで失敗しやすいポイントTOP5|ここを潰すと試作が速くなる
- 20 ギア・摺動用途のPOM|“選び方”専用ブロック
- 21 金属→POM置換チェックリスト|置換できるかを3分で判断
ポリアセタール樹脂原料ペレット(POM Pellet)とは
POM(Polyoxymethylene / ポリアセタール)樹脂は、低摩擦・耐摩耗・高剛性・寸法安定に優れ、金属代替の代表格として
ギア、軸受(ブッシュ)、摺動機構、精密機構部品で広く採用されます。
一方で、熱・薬品・熱水(加水分解)、成形条件、ガス/臭気(低VOC)など、用途によって“落とし穴”がある材料でもあります。
POMは大きくホモポリマー(H-POM)とコポリマー(C-POM)に分かれます。
一般に、ホモは剛性・強度・疲労が有利になりやすく、コポリマーは熱安定・耐熱水・成形安定の面で有利になりやすい傾向があります(ただし最終的にはグレード設計次第)。
以下では、POM樹脂ペレットを取り扱う主要メーカーと、選定が速くなるクイックガイド/比較表/用途別チェックをまとめました(順不同)。
まずはここだけ見ればOK|POMの“推奨グレード方向”クイックガイド
POMは「POMで行けるか?」より先に、どの負荷(摺動/疲労/熱水/反り/臭気)を最優先するかで勝ち筋が決まります。
下から自社用途に最も近い“1つ”を選び、メーカー・グレードへ進むと最短で絞れます。
摺動・摩耗
高強度・疲労
熱水・耐加水分解
低VOC・低臭気
低反り・GF強化
導電・帯電防止
| 用途のタイプ | 最優先すべき特性 | まず選ぶグレード方向 | コメント(落とし穴) |
|---|---|---|---|
| ギア・摺動機構(相手材あり) | 摩耗・摩擦・鳴き | 摺動改良(PTFE/シリコーン/潤滑) | 相手材(PBT/PA/金属)で最適解が変わる。評価条件を先に固定 |
| 高荷重・疲労(繰返し応力) | 剛性・疲労・クリープ | ホモ系(H-POM)または高剛性系 | 温湿度・薬品(燃料/洗剤)で劣化が出る場合はコポリマー/特殊耐性も比較 |
| 温水・蒸気・水回り部品 | 耐熱水・長期耐久 | コポリマー(C-POM)耐熱水/耐加水分解 | “耐熱温度”だけ見ない。温水・塩素・洗剤の複合条件が効く |
| 車載内装・臭気/曇りが問題 | 低VOC・低臭気・低アウトガス | 低VOC/低ガス放出グレード | 成形条件(過熱・滞留)で悪化しやすい。乾燥/温度管理もセットで |
| 剛性UP・低反り・寸法精度 | 反り・線膨張・剛性 | GF強化 / 低反り設計グレード | GFで衝撃/摺動が悪化することも。用途次第で“無充填+設計”が勝つ |
| 静電気・粉塵付着が問題 | 帯電防止・導電 | 帯電防止 / カーボン系導電 | 導電は外観や摺動とトレード。必要抵抗値を先に決める |
この表で方向性を決めてからメーカーを見ると、「見積を取るグレードカテゴリ」が即決できます。
POM樹脂|主要メーカーの強みを一目で比較
POMはメーカーごとに得意領域(ホモ/コポリマー、摺動、低VOC、耐熱水、低反り)が違います。
まずは下表で“勝ち筋メーカー”を数社に絞るのが最短ルートです。
国内強い
摺動
低VOC
耐熱水
GF強化
グローバル調達
| メーカー / ブランド | ホモ/コポリマー | 強み | 典型用途 | 調達観点 |
|---|---|---|---|---|
| グローバルポリアセタール株式会社(旧三菱ガス化学)|Iupital™(ユピタール) | 主にC-POM | 標準〜摺動〜強化〜耐衝撃まで用途別に整理された実務向けグレード体系 | OA機構部品・車載・精密機構 | 国内調達しやすく比較軸に使いやすい |
| 旭化成|TENAC™ / TENAC™-C(テナック) | H-POM / C-POM | ホモ/コポリマー両輪・低VOCや耐候/摺動も強い | 車載・精密機構 | 国内安定調達の軸 |
| ポリプラスチックス|DURACON®(ジュラコン) | 主にC-POM | 摺動/導電/低VOC/GF/低反りなど“実務グレード”が豊富 | ギア、機構、車載 | グレード検索が強い |
| Celanese|Hostaform® / Celcon® | C-POM中心 | グローバル実績が厚い。特定耐性(燃料/洗剤等)系も選択肢 | 自動車・産業 | 海外調達/グローバル統一に向く |
| Delrin®(旧DuPont事業から独立) | H-POM | 高荷重・疲労・剛性を狙う“ホモの王道” | 高負荷ギア、機構、金属代替 | 設計起点で選ぶ価値が高い |
| BASF|Ultraform® | C-POM | 摺動・耐薬品・自動車実績。医療/飲料水系グレードも | 燃料周り、機構 | 欧州系調達に強い |
| SABIC|POM / SABITAL™ | POMラインあり | グレード選択肢を持ち、グローバル供給の検討候補 | 精密成形、薄肉 | 複数地域供給の比較に |
| KEP(Global Polyacetal)|KEPITAL® | H/Cラインあり | アジア供給の有力候補。用途別にラインアップ | 一般機構・車載 | アジア調達/代替検討に |
| KOLON|KOCETAL® | C-POM | アジア系の比較候補。実装可能性を押さえておく価値 | 一般機構・摺動 | 代替/BCPで候補化 |
最初は「摺動」or「高荷重」or「熱水」or「低VOC」のどれを最優先するかで、勝ち筋メーカーが決まります。
POM樹脂ペレット|主要メーカー一覧(撤退表記の整理済み)
グローバルポリアセタール株式会社(Iupital™ / ユピタール)
C-POM
摺動
強化
耐衝撃
POM専業
Iupital™(ユピタール)は、POM専業メーカーであるグローバルポリアセタール株式会社が展開するコポリマー系POMシリーズです。
標準グレードから摺動改良、強化、耐衝撃まで用途別に整理されたラインアップを持ち、
機構部品向けに“実装しやすい構成”になっている点が特徴です。
まずは用途カテゴリ(摺動/剛性/耐衝撃など)を決め、同カテゴリで他社品と横並び比較すると選定が一気に早くなります。
旭化成(TENAC™ / TENAC™-C|テナック)
H-POM
C-POM
低VOC
摺動
車載
TENAC™(ホモ)とTENAC™-C(コポリマー)の両輪で、剛性・疲労・成形安定・低VOCなどの要求に対応しやすい構成です。
国内での基準候補として、まず比較表の“優先特性”に合うカテゴリから入るのがコツです。
ポリプラスチックス(DURACON® / ジュラコン)
C-POM
摺動
導電
低VOC
GF/低反り
DURACON®は、摺動・導電・低VOC・GF強化・低反りなど、現場で困りやすいテーマに対し
“そのまま使える実装グレード”が揃いやすいのが強みです。まずは用途(摺動/低VOC/強化)から当たりを付けると早いです。
Celanese(Hostaform® / Celcon®)
C-POM
グローバル
自動車
耐薬品
特殊耐性
Hostaform® / Celcon®は、グローバルでの実績が厚く、特定耐性(燃料・洗剤・環境)を含めた検討で有力候補になります。
海外拠点での統一材や、BCP(代替)観点の候補化にも向きます。
Delrin®(アセタール・ホモポリマー / H-POM)
H-POM
高荷重
疲労
剛性
金属代替
Delrin®はホモポリマー系の代表格として、高荷重・疲労・剛性を狙う設計で強い候補になります。
「強度で取りに行く」用途はまずDelrin®をベンチマークに置くと、比較が一気に楽になります。
BASF(Ultraform® / POM)
C-POM
摺動
耐薬品
自動車
欧州系
Ultraform®は、摺動・耐薬品・自動車用途での実績が厚いPOMです。
EU系のグローバル調達や、用途別の比較検討で押さえておく価値があります。
SABIC(POM / SABITAL™)
POM
薄肉
グローバル
精密成形
比較候補
SABICはPOMグレードを展開しており、薄肉・精密成形やグローバル供給比較の候補になります。
「二社だけで決めない」ためのBCP観点でも候補化すると、調達が安定します。
Global Polyacetal / KEP(KEPITAL®)
アジア供給
一般機構
代替候補
BCP
KEPITAL®はアジア圏での供給比較・代替検討で有力候補になります。
用途カテゴリ(標準/摺動/強化/低臭気)を先に固定して、国内品と同カテゴリで比較するのがコツです。
KOLON(KOCETAL®)
C-POM
アジア供給
一般機構
代替候補
KOCETAL®はC-POMとして、アジア調達や代替候補の比較検討で押さえておく価値があります。
量産前のBCP設計では「候補を持っていること」自体が武器になります。
用途別|POMグレード選定のチェックリスト
POMは「物性表の数値」だけで決めると失敗しやすい材料です。特に摺動・熱水・臭気・反りは、実環境で差が出ます。
下のチェックで評価条件を固定すると、比較が一気に楽になります。
選定前に固定すべき5項目
| 項目 | 何を決める? | 理由 |
|---|---|---|
| ① 相手材・摺動条件 | 相手材/荷重/速度/潤滑/温度 | 摺動は条件依存が大きく“カタログ値だけ”では決まらない |
| ② 熱水・洗剤・塩素 | 温水温度/濃度/時間 | 耐加水分解は“水質×温度×時間”で効き方が変わる |
| ③ 低VOC要求 | 臭気/曇り/規格(社内基準) | 材料だけでなく成形条件でも悪化するため“工程条件”も要件化 |
| ④ 寸法精度・反り | 許容差/ゲート/肉厚差 | GFで解決する場合と、設計・成形で解決する場合がある |
| ⑤ 使用温度域 | 常用温度/ピーク温度/繰返し | 耐熱は“ピーク”より“長期・繰返し”で差が出る |
上の5つが固定できると、グレード比較が“数社×数グレード”に一気に圧縮できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. ホモ(H-POM)とコポリマー(C-POM)はどう使い分けますか?
ざっくり言うと、高荷重・疲労・剛性を取りに行く→ホモ、成形安定・熱水・長期安定を重視→コポリマーが出発点です。
ただし最終的にはグレード設計次第なので、用途条件を固定して比較するのが最短です。
Q2. 摺動グレードは何が違う?
PTFEやシリコーンなどの内部潤滑設計で、摩耗・鳴き・摩擦を狙い撃ちします。
ただし相手材と条件で結果が変わるため、評価条件(荷重/速度/温度/潤滑)を固定して比較してください。
Q3. POMで臭気やガスが出るのが心配です
低VOCグレードを選ぶのに加え、成形での過熱・滞留を避けることが重要です。
材料選定と同時に、成形条件(温度・背圧・パージ・滞留)も要件化すると失敗が減ります。
関連ページ(あわせて読む)
材料基礎
加工形態
比較検討
なぜPOMが選ばれるのか?|5秒で分かる材料ポジション
低摩擦
耐摩耗
高剛性
寸法安定
金属代替
POMは「強いプラスチック」ではなく、“動く部品のための構造材料”です。
特に以下のような条件が1つでも当てはまる場合、POMは最初に検討すべき材料になります。
- ✔ ギア・摺動部など動きのある機構
- ✔ 金属は重い/高い/加工が大変
- ✔ 寸法精度や反りが機能に直結する
- ✔ 潤滑なしで摩耗を抑えたい
- ✔ 成形後の二次加工を減らしたい
つまりPOMは、「軽量・量産・機構部品」の交点にある材料です。
POM vs 他エンプラ|用途起点の早見比較
| 材料 | 得意領域 | 弱点 | POMとの関係 |
|---|---|---|---|
| POM | 摺動・ギア・寸法安定 | 耐熱は中程度 | 基準材料 |
| PA(ナイロン) | 靭性・耐熱 | 吸水で寸法変化 | 寸法が重要ならPOM |
| PBT | 耐熱・電装 | 摩耗・摺動 | 動くならPOM |
| PC | 耐衝撃・透明 | 摺動性が弱い | 構造用途はPOM |
| ABS | 外観・コスト | 強度・摩耗 | 機構部はPOM |
迷ったら「動く?荷重ある?精度いる?」
→ YES が1つでもあれば POM が第一候補です。
他素材も比較したい方へ
POMで失敗しやすいポイントTOP5|ここを潰すと試作が速くなる
設計ミス
成形ミス
摺動
反り
臭気
POMは“動く部品”に強い一方で、条件を外すと一気にトラブルが出ます。
下の5項目を先に潰すだけで、試作回数が減り、選定スピードが上がります。
| よくある失敗 | 起きやすい現象 | まずやる対策 | 代替候補の目安 |
|---|---|---|---|
| ① 摺動条件を決めずに材料だけ選ぶ | 摩耗・鳴き・粉が出る | 相手材/荷重/速度/潤滑/温度を固定→摺動グレード比較 | PBT/PA、またはPTFE配合系 |
| ② 肉厚差が大きい設計のまま量産 | 反り・寸法ズレ・割れ | 肉厚均一化+ゲート位置最適化+低反り/GFの検討 | GF-POM、PBT-GF |
| ③ 温水・洗剤・塩素条件を甘く見る | 長期で強度低下・クラック | 耐熱水/耐加水分解グレードへ。複合条件(温度×濃度×時間)で評価 | PPS/PA系、用途次第でPBT |
| ④ 成形で過熱・滞留させる | 臭気・ガス・外観不良 | 温度/背圧/滞留を管理。低VOCグレード+工程条件を要件化 | 低ガス放出系グレード |
| ⑤ ギア用途で疲労・クリープを見ていない | 歯欠け・バックラッシ増大 | 荷重×回転×温度×寿命で設計。高剛性/疲労向け(ホモ系等)を比較 | PA-GF、PBT-GF、PPS |
コツ:「材料→評価」ではなく、「条件→カテゴリ→材料」の順にすると最短で決まります。
ギア・摺動用途のPOM|“選び方”専用ブロック
ギア
摺動
鳴き
摩耗
寿命設計
ギア・摺動は「POMならOK」では決まりません。勝負は相手材と条件です。
下の“3ステップ”で、最短でグレードを絞れます。
| ステップ | 決めること | 選ぶグレード方向 | メモ |
|---|---|---|---|
| 1 | 相手材(POM同士 / PBT / PA / 金属) | 摺動改良 or 標準 | 相手材で摩耗粉・鳴きが変わる |
| 2 | 荷重・速度・温度(PV条件) | 高剛性/疲労(ホモ系等) or 低摩擦 | 温度が上がるほどクリープが効く |
| 3 | 寿命・騒音・粉の許容 | 低摩耗 / 低鳴き / 低粉の目的別グレード | 最終判断は実機に近い条件評価が最速 |
実務TIP:「鳴き」問題は材料単独ではなく、歯形・面粗度・潤滑・バックラッシでも大きく変わります。
材料選定と同時に設計条件も一緒に固定すると、評価が早く終わります。
金属→POM置換チェックリスト|置換できるかを3分で判断
金属代替
軽量化
量産
コスト
BCP
金属置換での失敗は「強度が足りない」より、寸法・クリープ・摩耗・温度で起こります。
下のチェックがYESなら、POM置換は成功確率が高いです。
| チェック項目 | YESの目安 | 推奨アクション |
|---|---|---|
| ① 温度条件 | 常用温度が極端に高くない | 高温ならPPS/PEEKも比較。POMは条件勝負 |
| ② 連続荷重(クリープ) | 長時間荷重が支配的ではない | 連続荷重が重いならGF/設計補強/別材 |
| ③ 摺動がある | 潤滑なし・軽潤滑で成立させたい | 摺動改良グレードで“鳴き・摩耗”を先に潰す |
| ④ 精度が必要 | 量産で寸法を揃えたい | 低反り設計+ゲート最適化+必要ならGF |
| ⑤ コストと加工 | 切削/組立を減らしたい | 一体成形・部品点数削減の設計が効く |
結論:「摺動・精度・量産」の3点が効くなら、金属→POM置換は成功しやすいです。