Contents
- 1 透明ABS樹脂原料ペレット(MABS Pellet)とは
- 2 まずはここだけ見ればOK|MABSの“推奨グレード方向”クイックガイド
- 3 MABS樹脂|主要メーカーの強みを一目で比較
- 4 東レ株式会社(トヨラック™:透明グレード)
- 5 デンカ株式会社(透明ABS:TE / CL)
- 6 Novacel株式会社(旧ダイセルABS事業:セビアン)
- 7 テクノUMG株式会社(透明ABS:グレード検索・物性PDF)
- 8 日本エイアンドエル株式会社(クララスチック:透明グレード)
- 9 関連ページ(あわせて読む)
- 10 なぜ透明ABS(MABS)を選ぶのか?|他樹脂との比較で“意思決定”を速くする
- 11 意思決定を速くする|MABSを選ぶ“3つの理由”
- 12 関連ページ(比較に使う)
透明ABS樹脂原料ペレット(MABS Pellet)とは
MABS(Methyl Methacrylate Acrylonitrile Butadiene Styrene)は、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)系の設計をベースに、透明性・外観性を強化したスチレン系樹脂です。
一般に「透明ABS」とも呼ばれ、比重が低い、吸湿性が少ない、成形性・熱安定性に優れる点が実務で評価されます。
また、印刷・塗装などの二次加工性にも適し、用途は化粧品ケース、医療機器、日用品、アミューズ部品(パチスロ・パチンコ)、ゲーム機ハウジング、家電部品などに広がっています。
以下より、MABS樹脂ペレット(MABS Pellet)を取り扱う主要メーカーと代表ブランド/公式資料を確認してください(順不同)。
まずはここだけ見ればOK|MABSの“推奨グレード方向”クイックガイド
MABSは「透明性」だけでなく、実務では外観(色相・艶)/衝撃/流動/耐薬品/帯電防止など、どれを最優先にするかで最初の当たりが変わります。
下の項目で自社用途に最も近い“1つ”を選んでからメーカー・グレードに進むと、選定スピードが上がります。
高透明
良色相(青味/黄味)
高衝撃
高流動(薄肉)
耐薬品
帯電防止
| 用途のタイプ | 最優先すべき特性 | まず選ぶグレード方向 | コメント(落とし穴) |
|---|---|---|---|
| 化粧品容器・透明意匠(外観最優先) | 透明性+色相(黄味/青味)+表面外観 | 高透明/良色相タイプ | 外観は金型・ゲート設計・乾燥条件でも差が出る |
| アミューズ・筐体(割れ/欠けが課題) | 耐衝撃(常温/低温) | 高衝撃MABS | 衝撃を上げると透明性・剛性が変化しやすい |
| 薄肉・高速成形(充填が厳しい) | 流動性(MFR) | 高流動MABS | 流動を上げると衝撃・外観(フローマーク)が変わる |
| 洗剤・アルコール接触(外観劣化が課題) | 耐薬品(白化/クラック抑制) | 耐薬品設計タイプ | 薬品×応力で環境応力亀裂(ESC)が出るため要評価 |
| 粉塵対策・透明カバー(静電気が課題) | 帯電防止(持続性) | 持続性帯電防止タイプ | 透明性と帯電防止の両立はグレード依存 |
この表で方向性を決めてからメーカー一覧を見ると、「どのカテゴリで見積・サンプル依頼を取るべきか」が即決できます。
MABS樹脂|主要メーカーの強みを一目で比較
MABSは用途により、透明性(ヘイズ)、色相、衝撃、流動、耐薬品の優先順位が変わります。
まず方向性を決めてから、下のメーカー詳細を確認すると選定が速くなります。
国内
透明
外観
高衝撃
高流動
| メーカー | 代表ブランド | 強み(選定の軸) | 典型用途 | 調達観点 |
|---|---|---|---|---|
| 東レ | トヨラック™(透明グレード) | 公式ページ内で透明グレード体系が追いやすい | 容器・家電・透明意匠 | 公式導線が安定 |
| デンカ | TE / CL(透明ABS) | 公式ページでTE/CLの位置付けが明確 | AV・情報機器、雑貨、容器 | 公式製品ページが安定 |
| Novacel(旧ダイセルABS事業) | セビアン(ABS/MS/AS) | 公式サイトに製品ページ・物性表一覧がある | 日用品・容器・工業部材 | 窓口・資料が一本化 |
| テクノUMG | 透明ABS(グレード検索) | 公式のグレード検索+物性PDF導線がある | 筐体・工業部材 | 型番起点で探しやすい |
| 日本エイアンドエル | クララスチック(透明グレード) | 公式に透明グレードの説明+物性表PDF導線 | 雑貨・透明筐体 | PDFが公式ドメイン |
MABS樹脂ペレット|主要メーカー一覧(公式リンク)
東レ株式会社(トヨラック™:透明グレード)
MABS
透明
外観
耐薬品(タイプあり)
東レのABS樹脂「トヨラック™」は、公式サイト内に透明グレードの整理があり、
用途に合わせて当たりを付けやすい構成です(最新の詳細は公式ページ参照)。
デンカ株式会社(透明ABS:TE / CL)
MABS
高透明
良色相
筐体
デンカの透明樹脂ページでは、透明ABSとしてTE(高透明)/CL(良色相)の位置付けが明確に整理されています。
Novacel株式会社(旧ダイセルABS事業:セビアン)
ABS/MS/AS
公式物性表
承継済
ダイセルのABS事業は現在Novacel株式会社に承継されています。
公式サイト内に「セビアン」製品ページと、物性表一覧(検索)が用意されています。
テクノUMG株式会社(透明ABS:グレード検索・物性PDF)
透明ABS
グレード検索
物性PDF
テクノUMGは公式サイト上にグレード検索と物性表PDFの導線があります。
「透明ABS」カテゴリから型番・特性で絞り込むのが最短です。
日本エイアンドエル株式会社(クララスチック:透明グレード)
透明ABS
外観
物性表PDF
クララスチックの透明グレードは、公式ページに説明があり、物性表PDFも公式ドメイン上で提供されています。
関連ページ(あわせて読む)
なぜ透明ABS(MABS)を選ぶのか?|他樹脂との比較で“意思決定”を速くする
透明材料の選定は「透明であること」だけでは決まりません。実務では割れにくさ(耐衝撃)、外観(色相・艶・白化)、耐薬品、成形性(流動・サイクル)、コストのどれを優先するかで最適材料が変わります。
透明ABS(MABS)は、透明材料の中でも“外観 × 成形性 × バランス”を狙いやすく、化粧品容器・透明筐体・アミューズ部品などで使われます。
一方で、耐薬品や耐熱は用途次第で他材料(SAN/PC/PMMAなど)が合理的な場合もあるため、下記の比較で「最初の当たり」を付けるのがおすすめです。
透明材料の比較
メリデメ整理
選定の軸
リンクで深掘り
| 材料 | MABSに対する立ち位置 | メリット | デメリット(注意点) | まず想定する用途 |
|---|---|---|---|---|
|
MABS(透明ABS) ▶ MABSページ |
基準(バランス型) |
外観(透明感)と成形性のバランスが取りやすい/ABS系の扱いやすさ(成形条件の守備範囲) 製品設計の自由度が高い |
耐薬品・耐熱はグレード依存(薬品×応力で白化やクラックが出ることがある) | 化粧品容器、透明筐体、日用品、アミューズ部品 |
|
AS / SAN ▶ AS(SAN)ページ |
“耐薬品×透明”の対抗馬 |
透明性+耐薬品の軸で選びやすい(透明意匠での実績) 透明雑貨・容器で候補になりやすい |
耐衝撃はMABS/PCに劣ることが多い(割れが課題なら要比較) 形状・肉厚で脆さが出やすい |
透明容器、透明雑貨、化粧品容器、耐薬品を重視する透明筐体 |
|
MS ▶ MSページ |
“軽量・透明”の簡易選択肢 |
透明系でコスト・軽さの観点が合う場合がある(用途次第) 透明性を確保しやすい |
強度・耐衝撃・耐熱は用途依存で制約が出やすい 重要部材はMABS/PCと比較推奨 |
透明雑貨、軽量部品、非構造の透明カバー |
|
PMMA(アクリル) ▶ PMMAページ |
“透明・外観の王道” |
透明感・意匠(クリアさ)に強み 表面外観を最優先する用途で有力 |
衝撃(割れ)面ではMABS/PCに劣ることが多い 落下・衝撃がある用途は要注意 |
外観最優先の透明部材、意匠パネル、透明カバー(衝撃小) |
|
PC(ポリカーボネート) ▶ PCページ |
“耐衝撃・耐熱の上位” |
高耐衝撃+耐熱(上位側)で安心感がある 透明部材で落下・割れが課題なら強い候補 |
コスト上昇/成形条件の管理がシビアになる場合 外観(傷・薬品)要求があるとハードコート等の検討が必要 |
透明保護カバー、機能筐体、耐熱も必要な透明部品 |
|
ABS(不透明が基本) ▶ ABSページ |
“透明不要ならコスパ” |
価格と物性のバランスが良い(屋内用途の定番) 成形が安定しやすい |
透明意匠は狙いにくい(不透明が基本) 屋外耐候は弱め(必要ならASA/AESへ) |
家電筐体、OA、内装、一般部材 |
|
MBS ▶ MBSページ |
“透明+改質”の別ルート |
透明用途の改質(アロイ/改質材)として使われるケースがある 設計目的に合えば選択肢 |
単純な置き換えではなく“配合・設計”が前提になりがち 目的(衝撃/透明/耐候)を明確に |
透明樹脂の改質、配合材料、アロイ設計 |
|
PC/ABS(アロイ) ▶ PC/ABSページ |
“耐熱・衝撃”の実務解 |
耐熱・耐衝撃をバランスさせやすい(車載・電装で定番) 工業部材で選びやすい |
透明意匠は基本狙いにくい(透明グレードは限定的) 屋外耐候は要求次第でPC/ASAやASAも比較 |
車載内装、電装筐体、機能部材(透明不要) |
意思決定を速くする|MABSを選ぶ“3つの理由”
外観×成形
割れ対策
量産の安定
理由①:透明材料の中で「外観」と「成形性」の両立がしやすい
PMMAのような外観系材料は透明感が強い一方、衝撃要求が上がると設計制約が増えがちです。
MABSは、透明意匠を維持しながら量産成形(充填・外観安定)の現実解を作りやすい点が強みです。
理由②:割れ・欠けが課題の透明部品で、PCほど過剰スペックにしなくて済む
落下衝撃や欠けが課題ならPCが最有力ですが、コストや成形条件が重くなる場合があります。
MABSは“必要十分な耐衝撃”を狙えるゾーンがあり、筐体や日用品で合理的な選択肢になります。
理由③:透明材料選定で失敗しやすい「白化・クラック」の議論がしやすい
透明部品の不具合で多いのは、薬品接触や残留応力による白化・クラック(ESC)です。
MABSはグレードで対策設計が分かれていることが多いため、「耐薬品寄り」か「外観寄り」かを先に決めることで、評価設計が組み立てやすくなります。
最短ルートは、①外観(高透明/色相)→ ②衝撃 → ③耐薬品の順で優先順位を固定し、候補グレードを2〜3に絞って試作評価することです。