SAS(Silicone Acrylonitrile Styrene / シリコン・アクリロニトリル・スチレン)は、ABSのブタジエン系ゴム成分を置き換える発想の
耐候・外観保持を狙ったスチレン系材料の一種です。
屋外・窓際・照明熱などで問題になりやすい退色・艶落ちや、用途によっては耐薬品の観点で検討されます。
耐候
外観保持
耐薬品
屋外部材
ABS代替
実務では「耐候」だけで材料は決まりません。色相・艶、衝撃、耐熱、
成形外観、塗装/めっき適性、コストの優先順位を先に固定すると選定が速くなります。
Contents
まずはここだけ見ればOK|SASの“推奨グレード方向”クイックガイド
SASの検討は、だいたい次のどれかに集約されます:
①屋外外観(退色・艶落ち)/②屋外+衝撃/③薬品・汚れ環境/
④コスト重視の耐候寄り。
まずは下の表で用途タイプを1つ選び、メーカー詳細へ進むのが最短です。
耐候
外観
耐衝撃
耐薬品
耐熱
成形性
| 用途のタイプ | 最優先すべき特性 | まず選ぶ方向 | コメント(落とし穴) |
|---|---|---|---|
| 屋外筐体・カバー(退色/艶落ちが課題) | 耐候(退色/黄変)+外観保持 | 耐候・外観重視タイプ | 色・艶・厚み・応力で差が出る。評価条件を固定して比較する |
| 屋外+衝撃(落下/打撃もある) | 耐衝撃+耐候 | 高衝撃寄り(必要ならAES/ASAも並行比較) | 衝撃を上げると剛性や外観が動く。薄肉は充填/反りも同時確認 |
| 洗剤・油剤・薬品が触れる環境 | 耐薬品+ESC(環境応力割れ) | 耐薬品を軸に(用途によってSAN/PC系も比較) | 薬品は“実液×温度×時間×応力”で評価(代替液で誤判定しない) |
| コスト優先(ただし屋外で少しでも長持ち) | コスト+必要十分な耐候 | 標準〜中衝撃から当たりを付ける | SASが過剰ならASA/AES/耐候ABSで成立するケースも多い |
まず用途タイプを決めてからメーカー導線を見ると、「見積・サンプル依頼」が迷わず進みます。
SAS樹脂|主要メーカーの強みを一目で比較
SASは「メーカーが多い材料」ではないため、最重要は公式にグレード→物性表へ辿れる導線があることです。
ここでは、SASとして公式導線が安定しているメーカーのみ掲載します(順不同)。
公式物性表
グレード検索
耐候
国内メーカー
| メーカー | 代表ブランド | 強み(選定の軸) | 典型用途 | 調達観点 |
|---|---|---|---|---|
| テクノUMG | ダイヤラック(耐候SASタイプ) | 公式のグレード検索→個別ページで物性に到達しやすい | 屋外筐体、外装部材、看板周辺、外観保持用途 | 型番起点で選定・社内展開が速い |
SAS樹脂ペレット|主要メーカー(公式リンク)
テクノUMG株式会社(ダイヤラック:耐候SASタイプ)
SAS
ダイヤラック
耐候
公式グレード検索
物性表導線
テクノUMGは、耐候性グレード群(AXS樹脂)としてAES/ASA/SAS等を扱っており、
SAS検討では「グレード検索 → 型番 → 個別物性」で候補を2〜3に絞るのが最短です。
まずは型番(例:S351 / TW15G / TW21H など)起点で当たりを付けると、評価が散りません。
公式:AXS樹脂(AES/ASA/SASなど)の説明を見る→
使い方メモ:グレード検索で型番検索 → 個別ページ(物性/用途)で比較 →
候補を2〜3に固定して試作評価へ進むのが、最短で意思決定できます。
実務でつまずくポイントだけ先に潰す|SASの不具合トップ4(原因→対策)
SASは「耐候系の外観保持」を狙う一方、評価で時間を溶かすのは外観不良と後から起きる割れ(ESC)です。
下は現場で効く“切り分け順”でまとめました(原因→対策は再現性が出る順に並べています)。
退色
艶落ち
白化
ESC
フローマーク
ウェルド
シルバー
① 退色・艶落ち(屋外/窓際)|「材料差」より「条件差」で負けることが多い
主因:UV量、温度、湿度、色材(顔料/染料)、厚み、表面状態(梨地/鏡面)、残留応力。
対策(優先順):
・評価条件の固定:屋外/屋内、照度/UV量、温度、寿命目標、厚みを先に定義
・色設計:色材の種類で差が出る(材料比較は同一色条件が基本)
・成形:急冷や過度なせん断で表面が荒れると外観保持が悪化しやすい(条件最適化)
・必要なら:表面処理や塗装の併用(要求寿命が長い場合)
② ESC(環境応力割れ)|薬品×応力で“後から割れる”
主因:洗剤/アルコール/油剤などの薬品+締結/嵌合/曲げ応力+残留応力。
対策(優先順):
・評価:実薬品(濃度/温度/時間)×実応力でESC試験(代替液で誤判定しない)
・設計:締結トルク、嵌合クリアランス、角部R、肉厚遷移で応力集中を避ける
・成形:金型温度/保圧/冷却で残留応力を下げる(急冷を避ける方向)
・材料:薬品要求が厳しいならSAN/PC系も並行比較(最短化)
③ 白化(ストレスホワイトニング)|角部・リブ根元・スナップ部で出やすい
主因:応力集中(鋭角・肉厚差)+残留応力(高せん断・急冷・不適切な保圧)。
対策(優先順):
・形状:R付け、肉厚遷移の緩和、リブ根元の応力集中低減
・成形:保圧・金型温度・冷却の最適化(白化が出るなら急冷/高せん断を疑う)
・評価:締結/嵌合状態での外観確認(単体試験片だけで判断しない)
④ 成形外観(フローマーク/ウェルド/シルバー)|「見える不良」が先に勝敗を決める
主因:乾燥不足、樹脂温度・金型温度のミスマッチ、過度なせん断、ベント不足、ゲート/流動設計。
対策(優先順):
・乾燥/保管:条件の再現性を先に確保(特にシルバー/ガス系の切り分けが速い)
・金型:ベント、ゲート位置/断面、ウェルド位置を設計でコントロール
・成形:充填速度/保圧/温度を外観重視のウィンドウで最適化
切り分けのおすすめ順:①乾燥・保管 → ②外観(流れ/ウェルド) → ③応力(白化/ESC) → ④耐候(退色/艶)。
先に“再現性”を確保すると、材料比較がブレません。
迷いを消す|SAS選定“最短3ステップ”
選定フロー
見積・サンプル
試作評価
| ステップ | やること | 判断基準 | 失敗しやすい点 |
|---|---|---|---|
| Step 1 | 用途タイプを1つに固定(屋外外観/屋外+衝撃/薬品) | 最優先特性を1つに固定 | 要求が“全部”になると永遠に決まらない |
| Step 2 | グレード候補を2〜3に絞る(型番起点) | 公式物性で主要物性(衝撃/耐熱/流動)を確認 | 候補を増やすほど評価が散る |
| Step 3 | 試作評価:外観→応力/ESC→耐候(必要なら) | 同一条件で再現性が出た状態で比較 | 乾燥/保管/金型温度が揃っていないと誤判定 |
最短ルートは、候補を増やさず(2〜3)、評価順を固定して意思決定を前に進めることです。
関連ページ(SASと迷いやすい近縁材料)
耐候
比較
屋外部材
材料選定