化学用語 用語集

潮解性(deliquescency)とは

潮解性(deliquescency)とは固体が空気中の水分を吸収して溶解する性質です。潮解は物質の飽和水溶液の蒸気圧が空気中の水蒸気圧よりも小さい場合に起こります。水蒸気が物質表面にある飽和水溶液に取り込まれて蒸気圧が等しくなると、物質の表面にできた水溶液の濃度が下がります。すると、物質が水溶液に溶け込み、濃度が上がるとまた空気中の水が取り込まれるというプロセスによって潮解が起こります。潮解性物質は水蒸気が存在する環境では蒸気圧が完全な平衡状態になるまで溶けていきます。 

潮解性を示す物質には水酸化ナトリウム、塩化カルシウム、クエン酸、炭酸カリウムなどがあります。塩化カルシウムは除湿剤や乾燥剤としてよく用いられている物質です。塩化カルシウムの固体を網の上に充填しておき、空気中の水蒸気を吸収させてできた飽和水溶液が落ちる設計にしているのが一般的です。このような設計にすると塩化カルシウムがすべて溶解するまで除湿に使用することができます。 

潮解性物質は湿度が高いところにあると速やかに溶けるので管理に注意が必要です。密封容器に乾燥剤を詰めて保存するなどの対応をして、水蒸気に触れさせないようにすると固体のみの状態を保つことができます。

このページに掲載されている企業・商品・材料等情報は、当協会が各企業の公式ホームページに掲載されている情報等を収集した上で、掲載を行っております。情報を精査し正しい情報掲載をしておりますが、当協会がそれを保証するものではありません(情報に誤りがあった場合は、お問合せフォームよりご連絡ください)。また、各種引用元のデータの変更、追加、削除などにより生じる情報の差異について、当協会は一切の責任を負わないものとします。当協会は、当サイトの掲載情報から直接的、または間接的に発生したと思われるいかなる損害についても責任を負わないものとします。  

-化学用語, 用語集
-

関連記事

lca cfp

ホルムアルデヒド(formaldehyde)とは

ホルムアルデヒド(formaldehyde)とはHCOHやCH2Oの化学式で示されるアルデヒドです。常温では刺激臭を持つ気体ですが、高濃度になると容易に分子間反応によるトリオキサンの形成や重合によるパ …

lca cfp

一酸化二窒素(N₂O/dinitrogen oxide)とは

一酸化二窒素(N₂O)は2つの窒素原子と1つの酸素原子から成る窒素酸化物です。亜酸化窒素や酸化二窒素とも呼ばれる気体物質で、独特の香りと甘さを持つのが特徴です。  一酸化二窒素は笑気ガスとも …

lca cfp

ポリマー(重合体)/polymer とは

ポリマー(重合体)/polymerとは、「ポリ」が多数を意味し、「マー」は分子の繰り返しを意味します。一般的には、合成樹脂(プラスチック)のことを指します。 たとえば、ポリ塩化ビニルは、塩化ビニル(モ …

lca cfp

熱可塑性樹脂 とは

樹脂・プラスチックは、「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」に大枠で分けられます。 樹脂・プラスチックは常温では硬く、熱を加えると柔らかくなります。またこれを冷やすとそのままの形状で硬化しますが、さらにも …

lca cfp

平衡反応(equilibrium reaction)とは

平衡反応(equilibrium reaction)とは原系から生成系への反応と、生成系から原系への反応が同時に進行して一定の原料と生成物の比率に落ち着く反応です。典型的なのが酸性条件でのエステルの加 …