
Contents
はじめに
地球温暖化対策として、炭素税は二酸化炭素(CO₂)を含む化石燃料を燃やす際に、その排出量に応じて課税を行う制度です。
日本では2012年に「地球温暖化対策税」が導入され、石油・石炭・天然ガスに課税されています。
炭素を経済的に「見える化」し、低炭素化を促す重要な手段として注目されています。
炭素税の目的と期待される効果
- 価格シグナル:化石燃料使用が割高になり、脱炭素エネルギーや省エネ設備の導入が促進
- 行動変化:省エネ機器の経済的優位性が高まり、普及を後押し
- 収益の再投資:税収は再エネや省エネ施策に活用
プラスチック業界への具体的影響
- 原料・エネルギーコスト上昇(ナフサ、化石燃料熱源)
- 製品ライフサイクル全体でのコスト増加と価格転嫁
- 再生プラスチックやバイオプラスチックへの移行の促進
- カーボンリーケージ(炭素漏出)リスクと輸入品との競争
世界的な炭素税・炭素価格制度の導入スケジュール
国・地域 | 方式・制度 | 導入/予定開始時期 |
---|---|---|
スウェーデン | 炭素税 | 1991年 |
欧州連合(EU ETS) | 排出権取引制(ETS) | 2005年 |
スイス | 炭素税+ETS併用 | 2013年 |
カナダ | 炭素価格制度(税+ETS) | 2018年 |
南アフリカ | 炭素税 | 2019年 |
EU CBAM | 炭素国境調整措置 | 2023年(課税は2026年~) |
デンマーク(農業) | 温室効果ガス税 | 2030年予定 |
国際海運 | グローバル炭素徴収制度 | 2027年~ |
日本 | 国内ETS準備中 | 2026~27年予定 |
プラスチック業界の対応戦略
- 高度リサイクル設備の導入(政府補助金の活用)
- 設計段階での脱炭素配慮(LCA対応、省エネ設計)
- 国際動向に即した原材料・供給チェーンの見直し
まとめ:業界の方向性と協会の役割
炭素税は、プラスチック業界にとって課題でありつつ、材料転換・設備高度化のきっかけでもあります。
当協会では、会員企業が制度を効果的に活用し、持続可能な社会へと貢献する支援体制を構築してまいります。