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MS樹脂原料ペレット(MS Pellet)とは
MS樹脂(Methyl Methacrylate Styrene Copolymer / メチルメタクリレート・スチレン共重合)は、
透明性と耐候性を持ちながら、PMMA(アクリル)やPC(ポリカーボネート)と比べて
低吸水・寸法安定や成形性の面で扱いやすいことがあり、用途次第で合理的な選択肢になります。
代表用途は、光学レンズ、照明カバー、ディスプレイ周辺部品、屋内外の透明カバー、POP/サイネージ、容器など。
ただし、必要な性能は「透明」だけで決まらず、実務では外観(ヘイズ/色相)、表面硬度、耐候、流動、コストの優先順位で当たりが変わります。
以下では、MS樹脂ペレットの主要メーカーと代表ブランド/公式資料(物性表や製品ページ)を
「選びやすいUI」で整理しました(順不同)。
まずはここだけ見ればOK|MS樹脂の“推奨グレード方向”クイックガイド
MS樹脂は「透明材料の代替」という文脈で検討されやすい一方で、実務では
外観/耐候/屈折率(光学)/流動(成形)/コストのどれを優先するかで、
最初に当たるべきメーカー・グレードが変わります。
下の表で自社用途に最も近い“1つ”を選んでから、メーカー詳細へ進むのが最短です。
高透明
良外観
耐候
光学
低吸水
成形性
コスト
| 用途のタイプ | 最優先すべき特性 | まず選ぶグレード方向 | コメント(落とし穴) |
|---|---|---|---|
| 屋外カバー/サイネージ(劣化が課題) | 耐候(黄変/劣化)+外観 | 耐光・耐候タイプ | 屋外は「素材+厚み+応力+環境」で差が出る(条件評価が必須) |
| 光学レンズ/プリズム(見え方が最優先) | 透明性(ヘイズ)+屈折率 | 光学グレード(屈折率/外観重視) | 微小なヘイズやゲート痕が性能に直結する(成形条件と金型設計が重要) |
| 薄肉成形/量産(充填が厳しい) | 流動(MFR)+外観安定 | 高流動タイプ | 流動を上げると剛性・外観(フローマーク)が変わることがある |
| 透明カバー(吸水変形が困る) | 低吸水+寸法安定 | 低吸水・寸法安定を軸に選定 | 「透明=全部同じ」ではない(応力白化や耐熱も確認) |
| コスト優先の透明雑貨(過剰性能を避けたい) | コスト+必要十分な外観 | 標準グレードから当たりを付ける | 耐衝撃・耐熱が必要ならMABS/PCも同時比較が早い |
この表で方向性を決めてからメーカー一覧を見ると、「どのカテゴリで見積・サンプル依頼を取るべきか」が即決しやすくなります。
MS樹脂|主要メーカーの強みを一目で比較
MS樹脂はメーカーにより、グレード体系(標準/耐候/用途別)や物性表への導線、探しやすさが違います。
まず方向性を決めてから、下の比較→各メーカー詳細へ進むと選定スピードが上がります。
公式物性表
透明
耐候
光学
国内メーカー
| メーカー | 代表ブランド | 強み(選定の軸) | 典型用途 | 調達観点 |
|---|---|---|---|---|
| Novacel | セビアン(MAS:MS樹脂) | 公式の製品ページ+物性表(一覧/検索)が揃い、型番起点で探しやすい | 透明雑貨、カバー、一般用途 | 物性表導線が安定 |
| デンカ | デンカ透明樹脂(MS) | MS/透明ABS/AS/MBSを透明樹脂として整理しており、比較検討がしやすい | 光学部品、照明、透明筐体 | 透明樹脂カテゴリで横展開しやすい |
| 東洋スチレン | トーヨーMS | MS樹脂を製品カテゴリとして明確に提示し、用途イメージが掴みやすい | レンズ、透明カバー、ディスプレイ周辺 | 公式の製品ページ導線が明快 |
MS樹脂ペレット|主要メーカー一覧(公式リンク)
Novacel株式会社(セビアン:MAS / MS樹脂)
MS樹脂
セビアン
公式物性表
検索で探せる
Novacelの「セビアン」はABS/MS/ASのスチレン系材料をまとめて扱っており、
MS樹脂(セビアンMAS)は公式の物性表(一覧・検索)導線が用意されています。
型番起点で物性PDFにすぐ到達できるため、選定と社内展開が速い構成です。
デンカ株式会社(デンカ透明樹脂:MS)
MS
透明樹脂
比較しやすい
透明ABS/AS/MBSも同列
デンカはMSを単独ではなく、MBSや透明ABS、ASなどを含む「透明樹脂」として整理しており、
「透明の目的が外観なのか、耐候なのか、成形なのか」を決めた上で、候補を絞り込みやすい導線になっています。
東洋スチレン株式会社(トーヨーMS)
トーヨーMS
光学
透明
用途が掴みやすい
東洋スチレンの「トーヨーMS」は、MS樹脂を製品カテゴリとして明確に提示しており、
用途と材料イメージを掴んでから選定に入るのに向いた導線です。
光学用途や透明カバー用途で、まず「どんな材料か」を関係者に説明する際にも使いやすいページ構成です。
関連ページ(あわせて読む)
透明材料
材料比較
調達
用途選定
なぜMS樹脂を選ぶのか?|透明材料の“意思決定”を速くする
透明材料の選定は「透明であること」だけでは決まりません。実務では
外観(ヘイズ/色相)、耐候(黄変/劣化)、表面硬度、寸法安定(吸水/吸湿)、
成形性、コストのどれを優先するかで最適解が変わります。
MS樹脂は、透明系材料の中でも「低吸水・寸法安定」や扱いやすい成形性が効く場面があり、
用途によってはPMMA/PCの代替として合理的になることがあります。
一方で、耐衝撃や耐熱が強く必要ならMABS/PCが有利なケースも多いので、比較の“入口”を揃えるのが重要です。
透明材料の比較
メリデメ整理
選定の軸
リンクで深掘り
| 材料 | MSに対する立ち位置 | メリット | デメリット(注意点) | まず想定する用途 |
|---|---|---|---|---|
|
MS ▶ MSページ |
基準(透明×寸法安定の狙い) | 透明性と扱いやすさのバランスを狙える/低吸水で寸法変化が課題の場面に合うことがある | 耐衝撃・耐熱は用途依存で上位材料(MABS/PC)が必要な場合がある | 透明カバー、表示部材、光学周辺、非構造の透明部品 |
|
PMMA(アクリル) ▶ PMMAページ |
外観最優先の王道 | 透明感・意匠に強い/外観を最優先する用途で有力 | 衝撃面で制約が出やすい(割れが課題ならMABS/PCと比較) | 意匠パネル、外観最優先の透明部材 |
|
MABS(透明ABS) ▶ MABSページ |
外観×成形×バランスの実務解 | 量産成形の現実解を作りやすい/割れや欠けが課題の透明筐体で有力 | 耐薬品・耐熱はグレード依存(ESC評価が必要) | 透明筐体、日用品、アミューズ部品 |
|
PC(ポリカーボネート) ▶ PCページ |
耐衝撃・耐熱の上位 | 落下・割れが課題なら強い候補/耐熱面でも安心感 | コスト上昇/成形条件がシビアになる場合/外観・薬品要求は要設計 | 透明保護カバー、機能筐体、耐熱も必要な透明部品 |
実務でつまずくポイントだけ先に潰す|MSの不具合トップ4(原因→対策)
透明材料の評価で時間を溶かすのは、物性そのものより「外観不良(見え方の劣化)」です。 特に白化・クラック(ESC)と黄変は、材料選定・設計・成形条件が絡み合います。 下は“現場で効く切り分け順”で整理しました。
白化 ESC(環境応力割れ) 黄変 フローマーク ゲート痕 シルバー
① 白化(ストレスホワイトニング)|角部・リブ根元・締結部で出やすい
主因:残留応力(過度なせん断・急冷・不適切な保圧)/形状の応力集中(鋭角・肉厚差)。
対策(優先順):
・形状:R付け、肉厚遷移の緩和、リブ根元の応力集中低減
・成形:保圧・金型温度・冷却の最適化(急冷を避け、応力を減らす方向)
・材料:外観重視/耐白化寄りグレードを優先候補に
② クラック(ESC:環境応力割れ)|薬品×応力で“後から割れる”
主因:薬品(洗剤/アルコール/油剤など)×応力(締結/嵌合/曲げ)/残留応力。
対策(優先順):
・評価:実薬品(濃度/温度/時間)×実応力でESC試験(代替薬品で誤判定しない)
・設計:締結トルク、嵌合クリアランス、角部R、応力集中を回避
・材料:耐薬品が本命ならAS/SAN等も並行比較(最短化)
③ 黄変(耐候劣化)|屋外・窓際・照明熱で差が出る
主因:UV、熱、酸化、環境条件。厚み・応力状態でも差が出る。
対策(優先順):
・条件固定:屋外/屋内、UV量、温度、寿命目標、厚みを定義
・材料:耐候設計グレード優先、必要なら表面処理(ハードコート等)も検討
・評価:加速試験+実環境に近い条件(温湿度/照度)を併用
④ 成形外観(フローマーク/ゲート痕/シルバー)|透明だから“全部目立つ”
主因:過度なせん断、温度ミスマッチ、乾燥不足、ベント不足、ゲート設計。
対策(優先順):
・乾燥:保管〜乾燥条件の再現性を先に確保
・金型:ベント/ゲート設計、流動の安定化
・成形:充填速度/保圧/温度を外観重視のウィンドウで最適化
切り分けのおすすめ順:①乾燥・保管 → ②外観(流れ/ゲート) → ③応力(白化/ESC) → ④耐候(黄変)。 先に“再現性”を確保すると、材料比較がブレません。
迷いを消す|MS樹脂の選定“最短3ステップ”
選定フロー 見積・サンプル 試作評価
| ステップ | やること | 判断基準 | 失敗しやすい点 |
|---|---|---|---|
| Step 1 | 用途タイプを1つ決める(外観/耐候/光学/薄肉/コスト) | 最優先特性を1つに固定 | 要求が“全部”になると永遠に決まらない |
| Step 2 | メーカー/グレード候補を2〜3に絞る | 物性表(公式)で主要物性を確認 | “似た材料”を増やすほど評価が散る |
| Step 3 | 試作評価:外観→応力/ESC→耐候の順で確認 | “再現性”が出た条件で比較 | 乾燥/保管が揃っていないと誤判定 |
最短ルートは、候補を増やさず(2〜3)に、評価順を固定して意思決定を前に進めることです。