化学用語 用語集

有機分子触媒反応(Organocatalysis)とは

L-proline

有機分子触媒反応(Organocatalysis)とは古くから化学反応の触媒としてよく用いられてきた金属を用いずに、有機分子を触媒として用いる反応です。

医薬品合成などの精密有機合成の分野で特に注目を浴びている触媒反応になっています。これは医薬品の場合には触媒反応に用いた金属の残存量が問題になることが多く、精製コストを上げる原因になっていますが、有機分子を触媒として合成できれば問題が解決するというのが理由の一つです。

さらに金属触媒ではできない立体選択的な反応も有機分子触媒によって実現されてきていることからよく利用されるようになってきました。

有機分子触媒反応(Organocatalysis)として歴史的によく知られているのが、アミノ酸の一種であるL-プロリンを触媒とする反応です。メチルビニルケトンと2-メチル-1,3-シクロヘキサンジオンからWieland-Mischerケトンの立体選択的な合成が可能ということが1950年には既に知られていました。

この反応ではメチルビニルケトンとL-プロリンの縮合によりイミニウム塩やエナミンンが形成されることで反応が促進されています。近年では分子設計をすることで反応や立体選択性の制御を試みる動きが強く、様々な有機分子触媒が開発されてきています。

このページに掲載されている企業・商品・材料等情報は、当協会が各企業の公式ホームページに掲載されている情報等を収集した上で、掲載を行っております。情報を精査し正しい情報掲載をしておりますが、当協会がそれを保証するものではありません(情報に誤りがあった場合は、お問合せフォームよりご連絡ください)。また、各種引用元のデータの変更、追加、削除などにより生じる情報の差異について、当協会は一切の責任を負わないものとします。当協会は、当サイトの掲載情報から直接的、または間接的に発生したと思われるいかなる損害についても責任を負わないものとします。  

-化学用語, 用語集
-

関連記事

lca cfp

錯体(complex)とは

錯体(complex)とは金属イオンに対して配位子がイオン結合や共有結合、配位結合や水素結合などによって配位して形成されている分子です。広い意味では配位結合や水素結合から成る分子を指し、金属イオンが中 …

ポリエチレンテレフタレート(PET)の成膜不具合と対策

ポリエチレンテレフタレート(PET)の成膜不具合は、製造プロセス中やその後の処理において、様々な原因で発生します。以下に、代表的な不具合の種類とそのメカニズムを一覧表でまとめました。 不具合の種類メカ …

lca cfp

オゾン(ozone)とは

オゾン(ozone)とは分子式ではO3と表記される気体物質です。3つの酸素原子が結合している化合物で強い酸化力を持っています。オゾンは他の物質との反応によって容易に酸素分子(O2)になります。オゾン分 …

lca cfp

光重合(photopolymerization)とは

光重合(photopolymerization)とは光の照射によって開始される重合反応です。主に短波長の紫外線の照射によって反応が開始され、モノマーの重合が進行します。光重合では光エネルギーの吸収によ …

lca cfp

光学純度(optical purity)とは

光学純度(optical purity)とは比旋光度の測定によって+体とー体の比率を求めることで導き出した光学活性体試料の純度です。光学活性体の旋光度はプラスまたはマイナスで同じ絶対値を持ちます。光学 …