化学用語 用語集

ニトロン(nitrone)とは

ニトロン(nitrone)とはイミンのN-オキシドあるいはオキシムのN-アルキル化体に相当する有機化合物です。ニトロンはN-アルキルヒドロキシルアミンとアルデヒドまたはケトンの脱水縮合によって合成する方法がよく用いられています。環状二級アミンのタングステン酸やm-クロロ過安息香酸による酸化反応で合成することも可能です。 

ニトロンは窒素上にプラスの形式電荷があります。形式電荷が酸素上にある構造と炭素上にある構造の共鳴構造として存在する化合物です。ニトロンはイミンやカルボニル化合物と同様に求核剤による付加反応が炭素上で進行し、付加体としてオキシムを与えます。また、ニトロンは1,3-双極子としての性質を持ち、アルケンやアルキンに対して協奏的な1,3-双極子付加環化反応が進行します。ニトロン同士での分子間反応も進行するため、ニトロンは濃縮された状態では不安定な場合が多いのが特徴です。 

ニトロンは農薬や医薬品、食品添加物や樹脂などにはあまり見られない構造です。熱や光に対する不安定性が製品開発をする上で問題になる場合が多いからです。しかし、有機合成のプロセスでは反応性が高いことからニトロンは中間体として活用されています。

このページに掲載されている企業・商品・材料等情報は、当協会が各企業の公式ホームページに掲載されている情報等を収集した上で、掲載を行っております。情報を精査し正しい情報掲載をしておりますが、当協会がそれを保証するものではありません(情報に誤りがあった場合は、お問合せフォームよりご連絡ください)。また、各種引用元のデータの変更、追加、削除などにより生じる情報の差異について、当協会は一切の責任を負わないものとします。当協会は、当サイトの掲載情報から直接的、または間接的に発生したと思われるいかなる損害についても責任を負わないものとします。  

-化学用語, 用語集
-, ,

関連記事

lca cfp

摺動性を評価するための【PV値】とは?

PV値とは、プラスチック摺動部品の摺動性を評価テストする値として存在します。材料の摩擦が主に荷重とすべり速度に依存することから、その材料の使用できる限界値を限界PV値と言います。 たとえば、ポリカーボ …

lca cfp

粒子状有機化合物(POM / Particulate Organic Matter)とは

粒子状有機化合物(POM / Particulate Organic Matter)とは揮発性有機化合物(VOC)の中で最も沸点が高い有機化合物です。揮発性有機化合物は塗料やペンキ、自動車の排気ガスや …

lca cfp

共重合(copolymerization)とは

共重合(copolymerization) 共重合(copolymerization)とは複数のモノマーを重合させてポリマーを合成する方法です。よく行われているのは二種類のモノマーを重合させる方法です …

lca cfp

脂肪族ポリケトン(Aliphatic Polyketones)とは

目次1 脂肪族ポリケトンの物性2 脂肪族ポリケトンの市販品3 脂肪族ポリケトンの用途 脂肪族ポリケトンの物性 脂肪族ポリケトンコポリマーは、多くの魅力的でユニークな特性を備えた比較的新しいクラスのポリ …

lca cfp

ハイドロフルオロカーボン類(HFCs/hydrofluorocarbons)とは

ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)は炭素原子、水素原子、フッ素原子から構成される化合物で、フロン類の中で代替フロンに該当します。ハイドロフルオロカーボン類の中で代表的な物質にはHFC-125(CH …