化学用語 用語集

ジアステレオマー(diastereomer)とは

ジアステレオマー(diastereomer)とは立体異性体の中で、エナンチオマーに該当していないものを指します。立体異性体とは平面の化学構造は一致していても、立体構造を見たときには回転や平行移動をしても互いに重ね合わせられない異性体です。エナンチオマーは互いに鏡像の関係にある立体異性体で、鏡に映した対称構造が一致します。ジアステレオマーは鏡に映しても立体構造が一致しないのが特徴です。

幾何異性体も広い意味でジアステレオマーに含まれます。幾何異性体はアルケンなどの二重結合を持つ化合物のシス-トランス異性体です。
ジアステレオマーは平面構造が同じだけで、化学的性質も物理的性質も互いに異なる物質です。ただ、ジアステレオマー間の物性や反応性は似ていることが多く、複数のジアステレオマーの混合物を単一のジアステレオマーに分離するのは容易ではない場合もあります。結晶性や極性の違いによって再結晶やクロマトグラフィーによって分離できることもあります。

ポリマー合成ではジアステレオマーによって物性が変わるリスクがあるため、ジアステレオマーが生じない重合方法を選ぶのが一般的です。モノマーとしてもジアステレオマーがない分子を利用するのが常套手段になっています。

このページに掲載されている企業・商品・材料等情報は、当協会が各企業の公式ホームページに掲載されている情報等を収集した上で、掲載を行っております。情報を精査し正しい情報掲載をしておりますが、当協会がそれを保証するものではありません(情報に誤りがあった場合は、お問合せフォームよりご連絡ください)。また、各種引用元のデータの変更、追加、削除などにより生じる情報の差異について、当協会は一切の責任を負わないものとします。当協会は、当サイトの掲載情報から直接的、または間接的に発生したと思われるいかなる損害についても責任を負わないものとします。  

-化学用語, 用語集
-,

関連記事

lca cfp

生分解性ポリエステル・バイオベース脂肪族ポリエステル とは

目次1 生分解性ポリエステル・バイオベース脂肪族ポリエステルの物性2 商業用のバイオベースまたは生分解性ポリエステル3 生分解性ポリエステル・バイオベース脂肪族ポリエステルの用途 生分解性ポリエステル …

lca cfp

グラフトポリマー(graft polymer)とは

グラフトポリマー(graft polymer)とはグラフト重合によって合成された分岐構造を持つポリマーです。グラフト(graft)とは接ぎ木の意味で、ポリマーに成長末端とは異なる反応点を作り出して、接 …

lca cfp

配位結合(coordination bond)とは

配位結合(coordination bond)とは2原子間の結合に関与している電子対が一方の原子から供与されている化学結合です。共有結合の場合には2つの原子からそれぞれ1つずつ電子が供与されて結合が形 …

lca cfp

ポリ乳酸(PLA)/ポリエーテル共重合体とは

ポリ乳酸/ポリエーテル共重合体とは、ポリ乳酸(PLA・polylactic acid)とポリエーテルのブロック共重合によって合成される樹脂です。ポリエチレングリコール(PEG)などのポリエーテルの両端 …

lca cfp

相間移動触媒(Phase Transfer Catalyst / PTC)とは

相間移動触媒(Phase Transfer Catalyst)とは液相、固相などの二つの相の間を行き来することによって反応速度を向上させる触媒です。 典型的なのが水と有機溶媒の二相系の反応において、水 …