化学用語 用語集

架橋剤(crosslinking agent)とは

架橋剤(crosslinking agent)とはポリマー同士またはポリマー内で化学的に結合させるための物質です。高分子合成では重合反応によってポリマーを合成した後、架橋することによって物理的性質や化学的性質を変化させることができます。近年では機能性ポリマーの合成にもよく用いられている方法です。 

典型的な架橋剤の利用例として人工ゴムの合成が挙げられます。ブタジエンゴムやエチレンプロピレンゴムなどのポリマーでもゴムの特性に近い性質を示すことがありますが、粘性や強度などの物性が素材として十分とは言えない場合がよくあります。この際に鎖状ポリマーを架橋剤によって架橋すると物性を改良することが可能です。 

架橋剤は2つ以上の反応点を持つ物質で、ポリエチレングリコールやマレイミドなどの様々な種類があります。ポリマーが持つ反応性の官能基に合わせて適切な架橋剤を選ぶことが必要です。 

生物学の分野では電気泳動の際にポリアクリルアミドゲルを使用します。ポリアクリルアミドも単独重合をしただけではゲル状にはなりません。しかし、ホルムアルデヒドなどを架橋剤として用いて直鎖アクリルアミドを架橋し、網目構造を形成するとゲル状になります。架橋剤の添加量によって網目の密度も変えることが可能です。

このページに掲載されている企業・商品・材料等情報は、当協会が各企業の公式ホームページに掲載されている情報等を収集した上で、掲載を行っております。情報を精査し正しい情報掲載をしておりますが、当協会がそれを保証するものではありません(情報に誤りがあった場合は、お問合せフォームよりご連絡ください)。また、各種引用元のデータの変更、追加、削除などにより生じる情報の差異について、当協会は一切の責任を負わないものとします。当協会は、当サイトの掲載情報から直接的、または間接的に発生したと思われるいかなる損害についても責任を負わないものとします。  

-化学用語, 用語集
-

関連記事

lca cfp

高分子(high-molecular)とは

高分子とは分子量が大きい分子を全般的に指します。分子量が小さい小分子、小分子と高分子の中間的な位置にある中分子という言葉もよく用いられています。 ただし、分子量によって具体的に高分子が定義されているわ …

lca cfp

マルチブロック共重合体(multiblock copolymer)とは

マルチブロック共重合体(multibloc copolymer)とはブロック重合によって合成されるポリマーの一種です。オリゴマーやポリマーを単位として共重合するブロック共重合体の中で、ブロックが複数あ …

lca cfp

配向力・誘起力・分散力から成るファンデルワールス力

ファンデルワールス力(van der Waals’ force)とは19世紀から20世紀に活躍した物理学者ヨハネス・ディーデリック・ファン・デル・ワールスによって提唱された分子間力の1つで …

lca cfp

共有結合(covalent bonding)とは

共有結合(covalent bonding)とは原子と原子の間に形成される化学結合の一種で、結合に関与する電子対を共有する仕組みになっています。一般的には2つの原子の両方から価電子が出されて共有される …

lca cfp

反応性を調節する保護基(protective group)とは

保護基(protective group)とは反応性の高い置換基に対して導入し、反応性を変化させることでさまざまな反応条件に耐えられるようにするための官能基です。有機合成では複数の反応点を有する化合物 …