化学用語 用語集

原子効率の指標とも呼ばれるアトムエコノミー

アトムエコノミー(atom economy)とは原子効率とも呼ばれる指標で、原料に対して生成物に残される分子量の割合を指します。バリー・トロストによって提唱されてからグリーンケミストリーにおいて重要な指標として用いられています。 

化学合成では原料として用いる物質のすべての原子が生成物に残るのが理想的です。しかし、化学反応では単純に分子間で結合が形成されるわけではありません。例えば、脱水縮合反応では水分子、フェノールによるブロモアルカンの求核置換反応では臭化水素が脱離します。製品製造において水分子や集荷水素は廃棄物になるため、環境負荷が大きくなる原因になります。脱離して廃棄物になる分子が多いほどアトムエコノミーは低くなり、理想的な化学プロセスから遠ざかると解釈します。 

アトムエコノミーの計算式は生成物の分子量/すべての反応物の分子量×100%です。環境負荷の小さい理想的な化学合成であればアトムエコノミーは100%になります。実際には反応に用いる有機溶剤や触媒、反応の収率や精製工程についても考慮して理想の化学プロセスを構築することが必要です。しかし、アトムエコノミーの算出によって反応単位で環境負荷の大きさを見積もることができます。

このページに掲載されている企業・商品・材料等情報は、当協会が各企業の公式ホームページに掲載されている情報等を収集した上で、掲載を行っております。情報を精査し正しい情報掲載をしておりますが、当協会がそれを保証するものではありません(情報に誤りがあった場合は、お問合せフォームよりご連絡ください)。また、各種引用元のデータの変更、追加、削除などにより生じる情報の差異について、当協会は一切の責任を負わないものとします。当協会は、当サイトの掲載情報から直接的、または間接的に発生したと思われるいかなる損害についても責任を負わないものとします。  

-化学用語, 用語集
-

関連記事

lca cfp

アニオン重合(anionic polymerization)とは

アニオン重合(anionic polymerization)とは重合反応の活性種がアニオンになっているイオン重合です。アニオン重合ではアニオンの活性種が電子不足なモノマーに対して付加反応を起こし、発生 …

lca cfp

配位子(ligand)とは

配位子(ligand)とは金属錯体の中心金属に対して配位結合している化合物です。金属イオンはさまざまな配位子による配位を受けて安定化されています。配位子はルイス酸性を持っていて空のp軌道やd軌道を持つ …

lca cfp

水素結合(hydrogen bond)とは

水素結合(hydrogen bond)とは酸素や窒素などの電気陰性度が高い原子に共有結合している水素と、他の官能基の非共有電子対の間で起こる非結合性の相互作用です。アメリカの化学者ポーリングによって提 …

lca cfp

結晶性樹脂プラスチック とは

樹脂・プラスチックは、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の2種類に分けられます。さらに、固体化しても加熱すれば形状を変形させられる熱可塑性樹脂については、結晶性樹脂と非晶性樹脂の2種類に分けれらます。 結晶性 …

lca cfp

エポキシビニルエステル樹脂(VER)とは

目次1 エポキシビニルエステル樹脂(VER)の物性2 市販のエポキシビニルエステル樹脂(VER)3 エポキシビニルエステル樹脂(VER)の用途 エポキシビニルエステル樹脂(VER)の物性 エポキシビニ …