化学用語 用語集

分極(polarization)とは

分極(polarization)とは電荷がプラスとマイナスで偏ることや、磁極がN極とS極に分かれることを指します。化学では誘電分極と極性による分子の分極の二種類があります。誘電分極とは外部から電場をかけたときに誘電体がプラスとマイナスに分かれる現象です。電場の影響によって誘電体の内部にある電子が移動して一方に偏ることによって起こります。

金属のように自由電子がある物質では静電誘導と呼ばれる現象です。自由電子がない不導体の場合にも分子全体に電荷の偏りが発生して分極が起こります。一方、極性による分子の分極は分子を構成する原子の電気陰性度の違いによって生じます。例えば、塩化水素分子の場合には水素原子に比べて塩素原子の電気陰性度が高いため、水素原子がプラス、塩素原子がマイナスの電荷を帯びます。水素分子や塩素分子のように対称分子の場合には電荷の偏りが生じないため、分子は分極しません。

分極が大きくなると原子間の結合が共有結合からイオン結合になります。塩化水素の場合には分極が小さいので共有結合と見なされるのが一般的ですが、塩化ナトリウムの場合には分極が大きいのでイオン結合と見なされます。ただし、分極の程度と結合の性質についての明確な境界線はありません。

このページに掲載されている企業・商品・材料等情報は、当協会が各企業の公式ホームページに掲載されている情報等を収集した上で、掲載を行っております。情報を精査し正しい情報掲載をしておりますが、当協会がそれを保証するものではありません(情報に誤りがあった場合は、お問合せフォームよりご連絡ください)。また、各種引用元のデータの変更、追加、削除などにより生じる情報の差異について、当協会は一切の責任を負わないものとします。当協会は、当サイトの掲載情報から直接的、または間接的に発生したと思われるいかなる損害についても責任を負わないものとします。  

-化学用語, 用語集
-

関連記事

lca cfp

汎用プラスチック とは

汎用プラスチックとは、プラスチックの中でも約8割程を占める一般的な熱可塑性樹脂のプラスチックで、生活用品や工業製品などに大量に使われています。プラスチックの中では、価格的に安価であり、加工性が良く、量 …

lca cfp

π結合(pi bond)とは

π結合(pi bond)とは隣り合う二つの原子のp軌道やd軌道などの相互作用によって生じる結合です。π結合はp軌道やd軌道の二原子間共有によって形成される結合で、二重結合や三重結合の形成にかかわってい …

lca cfp

双極子モーメント(dipole moment)とは

双極子モーメント(dipole moment)とは二つの原子または原子団の間に生まれる電荷の偏りです。一般的な共有結合では電気陰性度が高い原子がマイナス、電気陰性度が低い原子がプラスになり、電気陰性度 …

lca cfp

熱硬化性樹脂 とは

樹脂・プラスチックは大きく2つの種類に分けられ、その分け方は「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」に分けられます。 熱硬化性樹脂は、樹脂・プラスチック自体を熱で温め柔らかくすることで形状を変化させることが …

lca cfp

高分子化合物 とは

高分子化合物とは、化学の教科書などでは分子量が1万以上の線状化合物と書かれていますが、もっと簡単表しますと、結合された分子量がとても大きい化学物質と言えます。また、高分子化合物には低分子、中間分子、高 …