化学用語 用語集

アゴスティック相互作用(agostic interaction)とは

アゴスティック相互作用(agostic interaction)とは遷移金属と配位子のC-H結合の間で形成される三中心二電子結合の一種です。アゴスティック相互作用は中心金属の空のd軌道に対して、C-Hのσ結合が配位する形になっています。アゴスティックとは「自分に近づく」という意味のギリシア語で、C-H結合が金属中心に近づいていく様を捉えた言葉です。 

アゴスティック相互作用は近年、有機合成化学で注目されているC-H活性化反応において重要な相互作用です。C-H結合を遷移金属によって切断し、炭素に新しい官能基を導入するのがC-H活性化反応です。遷移金属がC-H結合を切断するときにはアゴスティック相互作用が起点になります。C-H結合が遷移金属に配位したときに、酸化的付加のような反応が進行する場合には結合切断を介して反応を進行させられる可能性が生まれます。 

高分子合成では近年、C-H結合切断による官能基化が注目されるようになってきました。アゴスティック相互作用に着目して、モノマーやオリゴマーだけでなくポリマーの官能基化をすることも可能です。合成後のポリマーを多様に修飾できる可能性があるため、機能性ポリマーの開発方針を策定する上ではアゴスティック相互作用に着目するのが重要になっています。 

このページに掲載されている企業・商品・材料等情報は、当協会が各企業の公式ホームページに掲載されている情報等を収集した上で、掲載を行っております。情報を精査し正しい情報掲載をしておりますが、当協会がそれを保証するものではありません(情報に誤りがあった場合は、お問合せフォームよりご連絡ください)。また、各種引用元のデータの変更、追加、削除などにより生じる情報の差異について、当協会は一切の責任を負わないものとします。当協会は、当サイトの掲載情報から直接的、または間接的に発生したと思われるいかなる損害についても責任を負わないものとします。  

-化学用語, 用語集
-, , ,

関連記事

lca cfp

重合度(degree of polymerization)とは

重合度(degree of polymerization)とは高分子を構成するモノマー単位の数を指します。モノマーAを単独重合させてAAA…Aという高分子を合成した場合にはAの数が重合度です。モノマー …

lca cfp

PHBHとは

PHBHとはポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(Poly(3-HydroxyButyrate-co-3-Hydroxyhexanoate)です。PHBHはPHA(ポリヒ …

lca cfp

ROMP(ring-opening metathesis polymerization)とは

ROMP(ring-opening metathesis polymerization)とは開環メタセシス重合です。アルケンを有する環状化合物の重合反応で、Grubbs触媒などのルテニウム触媒やモリブ …

lca cfp

ロックウェル硬さ試験とは(JIS K 7202)

目次1 ロックウェル硬さ試験(Rockwell Hardness)とは2 ロックウェル硬さ試験例 ロックウェル硬さ試験(Rockwell Hardness)とは 測定機に圧子(剛球)を取り付け、試料を …

lca cfp

ウィッティヒ反応(Wittig reaction)とは

ウィッティヒ反応(Wittig reaction)とはアルデヒドやケトンとリンイリドによってアルケンを生成する反応で、ゲオルク・ウィッティヒによって1954年に報告されました。カルボニル基の炭素-酸素 …