化学用語 用語集

非共有電子対(lone pair)とは

非共有電子対(lone pair)は孤立電子対とも呼ばれる結合に関与していない電子対です。最外殻にある電子対の中で他の原子と共有されていないという意味合いで非共有電子対と呼ばれています。

非共有電子対は反応性を持つ電子対で、ルイス塩基性を持つ分子では非共有電子対を持っています。例えば、水分子では酸素原子が二組の非共有電子対を持っていて、別の水分子の水素と水素結合を形成して安定化する性質があります。アルカリ性の水溶液に存在する水酸化物イオンは3つの非共有電子対を持ち、高い求核性も持つのが特徴です。

非共有電子対を持つ分子は電子を供与できるため、金属錯体の形成にも関与します。一般的に金属錯体の中心金属はd軌道やf軌道などに空軌道を有するため、非共有電子対を持つ分子が配位子として廃位結合を形成することができるからです。陽イオンにも非共有電子対を持つ分子が配位して安定化することがあります。非共有電子対による水素結合や配位結合には方向性があるのも特徴です。被占軌道の方向にだけ電子対を供与できる性質があるため、水分子の相互作用による構造化や分子内配位によるタンパク質などの生体分子の構造形成にも非共有電子対が寄与しています。

このページに掲載されている企業・商品・材料等情報は、当協会が各企業の公式ホームページに掲載されている情報等を収集した上で、掲載を行っております。情報を精査し正しい情報掲載をしておりますが、当協会がそれを保証するものではありません(情報に誤りがあった場合は、お問合せフォームよりご連絡ください)。また、各種引用元のデータの変更、追加、削除などにより生じる情報の差異について、当協会は一切の責任を負わないものとします。当協会は、当サイトの掲載情報から直接的、または間接的に発生したと思われるいかなる損害についても責任を負わないものとします。  

-化学用語, 用語集
-

関連記事

lca cfp

複屈折(birefringence)とは

複屈折とは、異方性のある物質に光が入射する際、2つの屈折光が現れる現象です。異方性のある物質というのは、弾性や屈折率が方向によってことなる物質であり、結晶や液晶がそれに該当します。逆に、等方性のある物 …

lca cfp

逐次重合の例として、ポリエステルの縮合重合

逐次重合(sequencial polymerization)とはモノマーが連続的に重合を繰り返してオリゴマーへの成長し、オリゴマー同士の重合も進行する機構で進行する反応です。二つ以上の反応性の官能基 …

lca cfp

アミド結合(amide bond)とは

アミド結合(amide bond)とはカルボン酸とアミンの脱水縮合によって形成される炭素―窒素結合です。広い意味ではカルボニル基とアミノ基によって構成される構造全体を指します。環状構造の場合には分子自 …

lca cfp

汎用プラスチック とは

汎用プラスチックとは、プラスチックの中でも約8割程を占める一般的な熱可塑性樹脂のプラスチックで、生活用品や工業製品などに大量に使われています。プラスチックの中では、価格的に安価であり、加工性が良く、量 …

lca cfp

可逆反応(reversible reaction)とは

可逆反応とは原系から生成系への進行だけでなく、生成系から原系への進行も起こる反応です。想定している正方向の反応とは逆方向の反応もエネルギー的に起こり得るときに可逆反応と呼びます。 可逆反応は原系と生成 …