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高密度ポリエチレン(HDPE)の特徴や用途(袋)・耐熱性・融点・接着性・加工・成形・低密度ポリエチレンとの違い

高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene/HDPE)とは

ポリエチレン(PE)自体は、樹脂・プラスチックの中では価格的に安く、フィルム特性が機械的特性や剛性、耐薬品性、耐水性について優れており、フィルム厚みを薄膜から厚膜まで成膜が出来きる便利な樹脂・プラスチックです。

世の中でビニール袋やポリ袋と言われているものは、このポリエチレン(PE)のことを指しています。そして、ポリエチレン(PE)には、大別して2種類があります。

低密度ポリエチレン(LDPE)
クリアでやわらかい特徴を持っており、触感が滑りやすく、現在ではお菓子や商品をカバーする梱包袋やプチプチと呼ばれている緩衝材などに使われています。また、ポリエチレン原料に添加剤を加えることで、防臭、帯電防止、防錆特性を持たせることが可能です。

・高密度ポリエチレン(HDPE)
半クリアで少しかたい特性をもっており、薄膜にしたときでも強度があります。また、触感はシャカシャカしており、現在ではよくスーパーのレジ袋に使われるポリ袋に使用されています。

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高密度ポリエチレン(HDPE)の歴史

この高密度ポリエチレン(High DensityPolyethylene/HDPE)は、日本においては1955年に工業化がされましたが、その前の1953年には西ドイツのZiegler博士が有機金属加工物を選び、極端に低い圧力でエチレンが重合できることを発見しました。また、同じ時期に、アメリカのPhillips社とStandard Oil社によって、中圧法PE製造技術の開発が進められました。日本では、三井石油化学(チーグラー法)が1958年に、昭和石油(フィリップス法)が1959年に生産をスタートさせました。後に、エチレンプラントの巨大化とテクノロジーの改良によって急激に発展が進み、一時期120万トンレベルに生産数が増加しました。
また、高密度ポリエチレン(High Density)Polyethylene/HDPEは、線状分子構造であるため分子量を調節して、溶融粘弾性挙動を調節します。密度はαオレフィンとの共重合によって調節します。薄い強化フィルムなどは、分子設計と加工技術の開発によって生み出された特異的なものでした。

高密度ポリエチレン(HDPE)の構造式


※wikipediaより引用

高密度ポリエチレン(HDPE)の製造方法

チーグラー法は、チーグラー触媒(TiCl4/有機アルミ)を炭化水素溶媒に分散させて、常圧から数気圧の加圧状況下でエチレンを吹き込みます。フィリップス法は、フィリップス触媒(Cr2O3担持型)を用いて20から30気圧状況下で重合をさせます。製造過程では、スラリー重合、気相重合、溶液重合法に区分けされます。



高密度ポリエチレン(HDPE)の特長

長所
  • プラスチックの中で比重(0.94〜0.97)が軽い方である
  • 密度が高くなると共に剛性が高まる
  • ポリエチレン自体ガラス転移点が-125℃とプラスチックの中でもかなり低く、耐寒性(低温特性)に優れる
  • 吸水率が非常に低く、ポリプロピレン同様レベルである
  • 機械的強度、電気特性、耐水性、耐薬品性に優れています。
短所
  • 高密度ポリエチレンは結晶化しやすく、その大きな結晶が外観に影響し透明材はつくれない
  • 低密度ポリエチレン同様、表面張力(印刷性・接着性)が低く、コロナ放電処理などによる表面改質工程が必要になる
  • 低密度ポリエチレン同様、耐薬品性と耐水性が良いが、高密度ポリエチレンの場合密度が高いことで界面活性剤によりストレスクラックが起こりやすくなっている


高密度ポリエチレン(HDPE)の成形加工方法

インジェクション成形、中空成形、フィルム成形、押出し成形、延伸成形 など


高密度ポリエチレン(HDPE)の成形加工条件

項目
ブロー成形 170~190℃
極薄強化フィルム 180~230℃




高密度ポリエチレン(HDPE)の基本物性表

物理的性質

項目 単位
比重 0.94〜0.97
ロックウェル硬度(D785法) 60〜70(ショアD)
吸水率 % <0.01

機械的性質

項目 単位
引張り強さ(D638/651法) Kg/㎠ 220〜390
曲げ強さ(D790法) Kg/㎠ 70
引張弾性率(D638法) 104kg/㎠ 0.42〜1.1
圧縮強さ(D695法) Kg/㎠ 230
衝撃強さ アイゾット Kg・cm/cm 8.2〜10.9

熱的性質

項目 単位
荷重たわみ温度
線膨脹係数(D696法) 10-5/℃ 11〜13
熱伝導度(C177法) 10-4cal/sec・cm/℃・cm 11〜12.4
連続耐熱温度 121
燃焼性 可燃性

電気的性質

項目 単位
絶縁破壊強さ(D149法) kV/mm 17.7〜19.7
体積固有抵抗 Ω/cm 10^16以上
誘電率(D150法) 2.3〜2.35

※上記データは参考値です。




高密度ポリエチレン(HDPE)の用途例

  • コンビニなどの白いレジ袋(極薄強化フィルム)
  • ブロー成形の場合、温水タンクや灯油缶、燃料タンク など
  • インジェクション成形の場合、コンテナ など
  • シャンプーや化粧品、洗剤容器などの家庭用品
  • 配水パイプやガス管やテープ など


高密度ポリエチレン(HDPE)の用途画像

▽高密度ポリエチレンのレジ袋



▽高密度ポリエチレンのバケツ



▽高密度ポリエチレンのビールクレート



▽高密度ポリエチレンのパイプ



画像出典:wikipedia


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