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原料・素材・材料

アクリル樹脂・メタクリル樹脂(PMMA)の特徴・用途・構造・加工・耐熱・接着・劣化・耐熱・欠点

アクリルブロック

メタクリル樹脂/アクリル(Poly Methyl Methacrylate/PMMA)とは

アクリルは、優れた透明性を持つ熱可塑性プラスチックです。一般的な比較素材としては、ガラスは割れやすい懸念があるためアクリルはガラスの代替材料として使用されるのに適しています(よくポリカーボネートとアクリルは比較され、時に耐衝撃性を加味してポリカーボネートが適しているケースもあります)。プラスチックの中でも1番に透明性が優れているわけです。最初の頃に採用されたアプリケーションでは、第二次世界大戦の潜航兵器、飛行機の窓、砲塔、天蓋の用途に使用されてきました。当時、航空機窓でガラスが採用されていた頃、ガラスとアクリルの粉砕被害を比較すると、アクリル場合その被害が少ない結果がでています。

アクリルの用途はさまざまあり、一般的にはアクリルの優れた透明性と比較的強い耐衝撃性の特性が理由で使用されています。たとえば、光学レンズ、家電製品、アクリル釘、天井、塗料、フィルム、防犯壁、医療機器部品、液晶画面材、家具などがあります。

アクリルとポリカーボネートを比較してみる

アクリルとポリカーボネートは、材料選定の際によく比較されます。なぜなら、どちらも透明性に優れており、耐衝撃性も持っているからです。しかし、それぞれの特性にも違いがあり、エンジニアはその違いによって材料選定を行います。それでは具体的な特性の違いについて見ていきましょう。

透明性

まず透明性においては、アクリルの方が優れています。アクリルは全光線透過率が92%程度に対し、ポリカーボネートは85%程度です。ちなみに、ガラスの全光線透過率は90%程度なので、アクリルはあらゆる素材の中でもトップレベルで透明性が良いです。代表的な例として、日本では水槽にアクリル素材を使用しています。

衝撃強度

耐衝撃強度に関しては、ポリカーボネートの方が優れています。アクリルはポリカーボネートに比べ割れやすく、ポリカーボネートの方が弾力性があります。なので、防弾ガラスなどに使用されやすいのはポリカーボネートとなります。衝撃強度さ Izod Kg・cm/cmの特性評価において、注型アクリルは2.2~2.7。ポリカーボネートは 65~87です。ポリカーボネートは、樹脂プラスチックの中でも最高レベルに耐衝撃性に優れています。

傷つきにくさ

傷つきにくさは、アクリルの方が勝っています。ポリカーボネートは表面硬度の鉛筆硬度がB程度に対し、アクリルは2H~3H程度です。ちなみに、ガラスはアクリル以上の表面硬度があります。

有害物質

ポリカーボネートには潜在的有害物質となりえるビスフェノールAが含まれていますが(ビスフェノールAを含む製造方法に限る。また、ビスフェノールAの有害性は確定的ではない)、アクリルには含まれておりません。




アクリル/メタクリル樹脂(PMMA)の歴史

メタクリル樹脂、いわゆるアクリル樹脂(Poly Methyl Methacrylate/PMMA)は、日本で1938年に初めて工業化がスタートされました。クリア感、耐候性のポイントがプラスチックすべての中で一番優れており、風防ガラスとして昔から親しまれています。
このアクリル(メタクリル樹脂)は、1928年に初めて生産され、その5年後にRohom & Haasというアメリカ企業によって市販されたのが始まりです。日本では昔、航空機用の風防ガラスとしてよく使用されていました。その後、石油化学工業の進歩により、モノマー自体が安く製造できるようになり、メタクリル樹脂いわゆるアクリルがさまざまな分野・領域で使用されることになりました。1995年には、ポリマーの生産量が20万トンを超え、現在は三菱ケミカル、住友化学、クラレ、旭化成などが製造を行っています。


アクリル/メタクリル樹脂(PMMA)の構造式

アクリル/メタクリル樹脂(PMMA)の構造式
※画像出典:wikipedia

アクリル/メタクリル樹脂(PMMA)の製造方法

メタクリル樹脂/アクリル(Poly Methyl Methacrylate/PMMA)は、①濃硫酸 ②アセトシアンヒドリン(青酸+アセトン) ③メタノール を合わせメタクリル酸メチル(MMA)を製造する方法とイソプチレンを直接酸化法によりメタクロレイン→メタクリル酸をつくりメタクリル酸メチル(MMA)を製造する2種類の方法があります。つくられたメタクリル酸メチル(MMA)は重合をさせ、キャストシートや成形材料ペレットなどのアクリル製品になります。




アクリル/メタクリル樹脂(PMMA)の特長

長所
  • 樹脂・プラスチックの中で最も透明で(全光線透過率92%)で、かつ、ガラスよりも透明性に優れています。
  • 長期間の暴露試験を行ってもほとんど変色せず、耐候性に優れています。
  • 着色がしやすく、鮮やかな着色が可能。
  • 加工がしやすい。
  • 耐衝撃性は弱いが、曲げ強さは良好。
短所
  • 耐衝撃性が弱く、プラスチックの中では割れやすい。(ガラス素材と比較すると、アクリル樹脂の方が割れにくい)
  • 汎用樹脂のため、耐熱温度が低い。


使用環境温度の比較

連続耐熱温度

評価:★★★★★

アクリル樹脂の連続耐熱温度は約60~87度ぐらいです。汎用樹脂であるアクリル樹脂は、連続耐熱温度について低い部類であり、難燃性等も通常付与されていません。使用環境温度をその他の素材と比較すると、塩ビよりは連続耐温度は高いですが、ポリプロピレンやポリエチレンよりは連続耐熱温度が低くなります。また、似通った素材のMS材と比べると、MS材の方が連続耐熱温度が高いです。そして、エンプラのポリカーボネートと比べると、当然ポリカの方が連続耐熱温度が高いです。

熱変形温度

評価:★★★★★

熱変形温度に関しては、ポリプロピレンやポリエチレンよりアクリル樹脂の方が優れており、その数値は70~100度ぐらいです。また、エンプラのナイロン6よりもアクリル樹脂の熱変形温度は優れており、ナイロン66と同じ程度と言えます。ちなみに、ABS樹脂は94~107度、ポリカーボネートは130~140度ぐらいです。


耐薬品性の比較 ※汎用プラ・エンプラとの比較

耐アルカリ性

評価:★★★★★

アクリル樹脂の耐アルカリ性に関しては、弱アルカリ性には強く、強アルカリ性には弱い特徴があります。ちなみに、似た素材であるMS材は、強アルカリ性でも良好な状態を保ちます。

耐酸性

評価:★★★★★

アルカリ樹脂の耐酸性については、弱酸性には強く、強酸性には弱い特徴があります。またMS材も強酸性には同等に弱い性質を持ちます。

有機溶剤性

評価:★★★★

アクリル樹脂は有機溶剤性においては弱い特徴があります。特にケトン・エステル、芳香族、塩化炭化水素などに可溶となります。ただ、同じ透明樹脂プラスチックであるポリカーボネートについても、有機溶剤性においては同等に弱い部類となります。




寸法安定性の特性比較

吸水率

評価:★★★★★

アクリル樹脂の吸水率は0.3~0.4%です。他の樹脂プラスチックと比べると吸水率は比較的多い方であり、湿度が高い場所等の保管には注意が必要となります。

熱膨張係数

評価:★★★★★

アクリル樹脂の熱膨張係数は5~9(10^-5/℃)ぐらいです。熱膨張係数については、透明樹脂の比較対象となるMS材やポリカーボネート材と比べても同等レベルです。


機械的強度の特性比較

引張強さ・圧縮強さ・曲げ強さ

評価:★★★★

アクリル樹脂は、引張強さ・圧縮強さ・曲げ強さに関して、プラスチックの中でも高い性能を発揮します。

衝撃強さ

評価:★★★★

反対に衝撃強さについては、アクリル樹脂は弱いです。硬い性質のプラスチックなため、割れやすいのです。


価格コストの比較

評価:★★★★★

アクリル樹脂は、樹脂の中でも原料コストが安い部類に位置します。ポリエチレンやポリプロピレン、塩ビより、アクリル樹脂はコストが高いですが、ポリアセタールやナイロン、ポリカーボネート等よりはコストが安いです。同じ程度のコスト素材としては、ABS樹脂などが存在します。また、アクリル樹脂と似た素材であるMS素材は、アクリル樹脂より若干高いコストとなります。




アクリル/メタクリル樹脂(PMMA)の成形加工方法

注型加工、押出し加工、インジェクション成形加工、真空成形加工、圧空成形加工、トム成形 など


アクリル/メタクリル樹脂(PMMA)の成形加工条件

項目 単位
射出成形温度 163~207
圧縮成形温度 149~218
成形収縮率 % 0.2~0.8


アクリル/メタクリル樹脂(PMMA)の基本物性表

物理的性質

項目 単位
比重 1.17~1.20
ロックウェル硬度(D785法) M85~105
吸水率 % 0.3~0.4

機械的性質

項目 単位
引張り強さ(D638/651法) Kg/㎠ 490~770
伸び(D638法) % 2~10
引張弾性率(D638法) 10^4kg/㎠ 3.2
曲げ強さ(D790法) Kg/㎠ 900~1300
圧縮強さ(D695法) Kg/㎠ 840~1270
衝撃強さ アイゾット Kg・cm/cm 1.6~2.7

熱的性質

項目 単位
熱伝導度(C177法) 10^-4cal/sec・cm/℃・cm 4~6
熱膨張係数(D696法) 10^-5/℃ 5~9
連続耐熱温度 60~87
熱変形温度(18.5Kg/cm² D648法) 70~100
燃焼性 可燃性

電気的性質

項目 単位
体積抵抗(D257) Ω/cm >10^14以上
絶縁破壊強さ 短時間(D149法) kV/mm 17.7~21.6
誘電率 10^3~(D150法) 3~3.5

化学的性質

項目 単位
弱酸の影響(D543法)
強酸の影響(D543法)
弱アルカリの影響(D543法)
強アルカリの影響(D543法) ×
耐有機溶剤性(D543法) ケトン・エステル、芳香族、塩化炭化水素に可溶

※上記データは参考値です。
※参考文献:ポリマー辞典及び日本化学便覧など




アクリル/メタクリル樹脂(PMMA)の用途例

メタクリル樹脂/アクリル(Poly Methyl Methacrylate/PMMA)の用途は、工業製品関係では、銘鈑、水槽、ラジオ、浴槽、什器。建築関係では、天井、ドーム、屋根、壁。輸送関係では、自動車テールランプ、自動車ランプレンズ、飛行機、ヘリコプター。ディスプレイ・サイン・照明関係では、ディスプレイ、看板、照明カバーの用途で使用されています。


アクリル/メタクリル樹脂(PMMA)の用途画像

▽アクリル樹脂注型キューブ

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<p></br></p>
<p>▽アクリル素材のグランドピアノ</p>
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▽水族館のアクリル窓


▽封入アクリルブロック

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