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はじめに
PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)は、極めて高い耐薬品性・耐熱性・非粘着性を有するフッ素系樹脂であり、 電気・電子、化学プラント、半導体、医療機器、食品加工、宇宙・航空分野において不可欠な高機能材料です。 特にクリーン環境や高温腐食環境下での使用において代替困難な特性を持ち、2025年も高機能樹脂の中核として注目されています。
市場規模と成長見通し(2022〜2025年)
- 2022年実績: 約11.4億米ドル
- 2023年: 約12.1億米ドル
- 2024年推定: 約12.9億米ドル
- 2025年予測: 約13.7億米ドル(CAGR:6.3%)
主要成長ドライバーには、半導体製造装置向けの需要増、医療・分析機器用途での拡大、 EV(電気自動車)関連部材への採用増加 などが挙げられます。
価格推移と市況動向(2023〜2025)
- 2023年平均価格: 約32~35 USD/kg(グレードによる)
- 2024年: 一部グレードで最大3%程度の価格上昇傾向
- 2025年Q2予測: 34〜37 USD/kg(高純度・特殊グレードは40 USD/kg超)
世界的なフッ素原料供給の逼迫や中国内需の回復が価格を押し上げており、高機能グレードを中心に安定した価格形成が続く見通しです。
用途別需要動向
- 半導体分野: クリーンルーム配管、シール部品、絶縁材料などで需要急伸。
- 化学プラント用途: ライニング材やガスケット用途で堅調な需要維持。
- 医療・バイオ分野: カテーテルや分析用チューブ材に使用拡大。
- 電線・ケーブル: 高周波・高耐熱用途で需要継続。
地域別市場トレンド
- アジア太平洋地域: 中国、日本、韓国を中心に半導体・化学用途で成長。
- 欧州: 医療・航空用途が堅調。脱炭素・再生可能エネルギー関連分野での応用も。
- 北米: 特に米国においてEV・医療機器用途で市場拡大中。
主要メーカーの展開
- デュポン(米): テフロン™ブランドを中心に半導体・医療向け高純度PTFEを強化。
- AGC(日本): 高機能フッ素樹脂ラインナップを拡充。
- ダイキン工業(日本): 世界トップクラスの生産能力を背景に多用途展開。
- 3M(米): 特殊グレードの開発と航空宇宙・医療分野でのシェアを拡大。
今後の展望と課題
PFAやETFEなど代替樹脂との競合はあるものの、PTFEの非粘着性・耐薬品性は代替困難であり、 今後も高機能用途を中心に安定した成長が見込まれます。一方で、環境負荷軽減への対応や フッ素化合物規制への動向には注意が必要です。
※本レポートは、国内外の統計情報、業界動向資料、市場調査レポートをもとに構成されています。