射出成形の用語 用語集

【射出成形】フローマークの不良原因と改善対策

フローマーク(flow mark)の不良原因と改善対策

射出成形のフローマークは、日本やヨーロッパ、アメリカの国は「Flow Mark」で記述され、イギリスは「Zebra Mark」で定義されています。射出成形には多くのタイプのフローマークがあり、細い溝形状のフローマークと表面流れのようなフローマークについて説明します。

細い溝形状のフローマーク

図1

主にフローフロントとフローエンドとの間に起こるメルトフロントの硬化と収縮が発生し、その後、以前の新しいメルトによって生成された波形フローマークが繰り返されます。多数の実験により、射出成形のフローマークは、溶融速度が遅すぎる位置、または速度の急激な変化により速度が遅い位置に現れることが証明されています。溶融速度が遅くなる理由は、形状の断面積が変化したり、射出成形プロセスが圧力保持プロセスに切り替えられたときの速度の急激な変化が主な不良原因です。

図2

溶融プラスチックの流れが図2のbのようになっている場合、フローマークの表面層が収縮して内側に転がり、溶融プラスチックが同じアクションを繰り返します。したがって、図1の場合は、形状の急な位置の前に速度を上げる設定をすることを改善対策としてお勧めします。

図1-2の場合、急激な変化の割合を減らすために、速度と圧力を同時に下げる必要があります。射出成形プロセスの終了時の速度設定と保持圧力の開始は同じでなければなりません。保圧の圧力設定を下げるだけの場合、圧力制御下の自然な流れは速度を下げます。しかし、圧力降下が低すぎると、流れは停止し、時には流れのマーク領域が増加します。したがって、射出成形プロセス全体で管理が必要です。

表面流れのフローマーク

射出成形のプロセスでは、使用する材料の粘度が非常に高い場合、スムーズに生産するために大量の離型剤を塗布する必要があることがよくあります。表面層は内部溶融物の移動によって発生するせん断応力に耐える必要があります。せん断応力が表面層と金型表面の摩擦より大きい場合、表面層が耐えられない場合、表面層は細断されます。同時に、剥がれる前にドラッグされます。引きずりが発生するプロセス中、溶融物の流れがはるかに容易になるため、内部圧力が低下し、せん断が減少します。連続的な流れのプロセスのために、上記の動作が繰り返され、その結果、製品の表面に流れの漂流マークが発生し不良となります。

速い流量によって発生するフローマーク

このフローマークは、表面流れのフローマークと非常に似ていますが、表面層と滑り層の組み合わせによって引き起こされる表面層の裂​​け目ではありません。したがって、摺動部分は成形面に雲のような跡を残します。

このようにご紹介したフローマークの不良原因は、波面の流れの速度に大きく依存します。またフローマークの形状は、フローの輪郭にほぼ一致していることがわかっています。

このページに掲載されている企業・商品・材料等情報は、当協会が各企業の公式ホームページに掲載されている情報等を収集した上で、掲載を行っております。情報を精査し正しい情報掲載をしておりますが、当協会がそれを保証するものではありません(情報に誤りがあった場合は、お問合せフォームよりご連絡ください)。また、各種引用元のデータの変更、追加、削除などにより生じる情報の差異について、当協会は一切の責任を負わないものとします。当協会は、当サイトの掲載情報から直接的、または間接的に発生したと思われるいかなる損害についても責任を負わないものとします。  

-射出成形の用語, 用語集
-, ,

関連記事

lca cfp

PBSA(ポリブチレンサクシネートアジペート/PolyButylene Succinate Adipate)とは

PBSAとはポリブチレンサクシネートアジペート(PolyButylene Succinate Adipate)です。1,4-ブタンジオールとコハク酸、アジピン酸の共重合によって合成されます。 …

lca cfp

高分子化合物 とは

高分子化合物とは、化学の教科書などでは分子量が1万以上の線状化合物と書かれていますが、もっと簡単表しますと、結合された分子量がとても大きい化学物質と言えます。また、高分子化合物には低分子、中間分子、高 …

lca cfp

極性溶媒中で非極性の疎水性分子や非極性官能基が凝集する疏水効果

疎水効果(hydrophobic effect)とは極性溶媒中で非極性の疎水性分子や非極性官能基が凝集する効果です。疎水効果は水中で両親媒性分子がミセルを形成する現象のように親水性分子同士、疎水性分子 …

lca cfp

熱可塑性樹脂 とは

樹脂・プラスチックは、「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」に大枠で分けられます。 樹脂・プラスチックは常温では硬く、熱を加えると柔らかくなります。またこれを冷やすとそのままの形状で硬化しますが、さらにも …

lca cfp

共有結合(covalent bonding)とは

共有結合(covalent bonding)とは原子と原子の間に形成される化学結合の一種で、結合に関与する電子対を共有する仕組みになっています。一般的には2つの原子の両方から価電子が出されて共有される …