Contents
- 1 ABS樹脂ペレットとは
- 2 ABS樹脂|主要メーカーの強みを一目で比較
- 3 テクノUMG株式会社(TECHNO ABS / TECHNO MUH)
- 4 デンカ株式会社(デンカABS / マレッカ® ほか)
- 5 東レ株式会社(トヨラック™ ABS)
- 6 ノバセル株式会社(CEVIAN:ABS/MS/AS スチレン系)
- 7 CHIMEI(奇美実業)|POLYLAC® ABS
- 8 INEOS Styrolution(Terluran® / Novodur® ほか)
- 9 SABIC(CYCOLAC™ ABS)
- 10 LG Chem(ABS)
- 11 LOTTE Chemical(starex® ABS)
- 12 旭化成株式会社(スタイラック™ ABS)※事業終了
- 13 用途別|ABS樹脂ペレット選定の考え方
- 14 ABS / ASA / AES / SAN / PC/ABS|使い分け早見表
- 15 用途別|ABSグレード選定のチェックリスト
- 16 よくある質問(FAQ)
ABS樹脂ペレットとは
ABS樹脂ペレットとは、アクリロニトリル(A)・ブタジエン(B)・スチレン(S)を組み合わせたABS樹脂を、
成形加工用途に扱いやすいペレット形状にした材料です。
ABSの製法は大きくブレンド法・グラフト法・グラフトブレンド法などに分類されます。
ABSは耐衝撃性と剛性、寸法安定性、加工性、外観(光沢・着色性)のバランスが良く、
家電筐体、OA機器、自動車内装、雑貨、玩具、工業部材など幅広く採用される代表的なエンプラ系樹脂です。
以下より、ABS樹脂ペレット(ABS Pellet)を取り扱う主要メーカーと代表ブランドを選んでください(順不同)。
ABS樹脂|主要メーカーの強みを一目で比較
ABSはメーカーごとに「得意な市場・物性バランス・調達特性」がはっきり分かれています。
ここで方向性を決めてから、下の詳細メーカーを確認すると選定が速くなります。
国内
グローバル標準
アジア調達
高機能
量産
| メーカー | 立ち位置 | 強み | 典型用途 | 調達観点 |
|---|---|---|---|---|
| テクノUMG | 国内中核 | 汎用〜高機能までグレード幅が広い | 家電・車載・工業 | 国内調達の軸 |
| デンカ | 高機能特化 | 耐熱ABS(マレッカ) | 電装・高温部材 | 耐熱代替 |
| 東レ | 高機能系 | 制電・透明・アロイ | 筐体・工業 | 仕様対応力 |
| ノバセル(CEVIAN) | 機能コンパウンド | 耐熱・難燃・剛性設計 | 産業用途 | 物性チューニング |
| CHIMEI | アジア量産 | コスト×安定供給 | 家電・IT | 量産調達 |
| INEOS Styrolution | 世界標準 | 医療・車載・規格網羅 | グローバル設計 | 多拠点調達 |
| SABIC | 規格・外観重視 | UL・電装向け実績 | 電装筐体 | 規格対応 |
| LG Chem | アジア大手 | 安定供給×価格 | 家電・車載 | コスト軸 |
| LOTTE | 韓国系量産 | 成形性・塗装性 | 筐体・雑貨 | 量産・外観 |
この表で方向性を決めてから、下のメーカー詳細に進むと、
「どこに見積を出すべきか」が一気に絞れます。
ABS樹脂ペレット|主要メーカー一覧
テクノUMG株式会社(TECHNO ABS / TECHNO MUH)
ABS
耐熱
難燃
GF強化
家電・自動車
テクノUMGは、スチレン系樹脂の大手メーカーとしてABSを幅広いグレードで展開しています。
一般グレードに加え、耐熱・難燃・強化(GF)・押出グレードなど、用途別に選定しやすい構成が特長です。
デンカ株式会社(デンカABS / マレッカ® ほか)
ABS
耐熱
耐薬品
GF強化
工業用途
デンカは「デンカABS」に加え、耐熱ABS「マレッカ®」など高機能グレードも展開しています。
耐熱・成形安定性・衝撃バランスを狙う用途で選定されやすいシリーズです。
東レ株式会社(トヨラック™ ABS)
ABS
透明
制電
アロイ
高機能
東レのトヨラック™ABSは、汎用グレードに加え、透明・制電・アロイ・強化など高機能ラインアップも用意されています。
外観性と物性バランスを取りながら用途最適化しやすいのが特徴です。
ノバセル株式会社(CEVIAN:ABS/MS/AS スチレン系)
ABS
耐熱
高剛性
難燃
コンパウンド
「セビアン(CEVIAN)」は、ABS/MS/ASを中心とするスチレン系材料ブランドです。
ダイセルグループのレジン(着色・コンパウンド等)事業は、2024年7月1日からノバセルが承継しており、
現在はノバセルの事業案内として整理されています。
CHIMEI(奇美実業)|POLYLAC® ABS
ABS
グローバル大手
難燃
高流動
家電・IT
CHIMEIのPOLYLAC®は、ABSの代表的グローバルブランドの一つです。
一般・高流動・難燃・耐熱などの用途別グレードが揃い、幅広い成形用途に採用されています。
INEOS Styrolution(Terluran® / Novodur® ほか)
ABS
グローバル標準
メディカル
めっき・塗装
自動車
INEOS Styrolutionはスチレン系樹脂に特化した世界的メーカーで、ABSでも主要ブランドを展開しています。
地域別に提供ブランド・グレードが整理されており、グローバル調達の基準として参照されやすいメーカーです。
SABIC(CYCOLAC™ ABS)
ABS
UL対応
高流動
外観品質
電装・筐体
SABICのCYCOLAC™は、電装・筐体用途などで参照される代表的ABSブランドです。
規格対応や用途別のグレード比較に使いやすい公式ページ構成になっています。
LG Chem(ABS)
ABS
グローバル大手
耐熱
耐衝撃
家電・自動車
LG ChemはABSを主要製品として展開しており、用途(家電・自動車・IT等)向けの材料情報がまとまっています。
アジア調達の比較軸として追加しておくとページの網羅性が上がります。
LOTTE Chemical(starex® ABS)
ABS
アジア主要
成形性
塗装性
家電・雑貨
LOTTE Chemicalのstarex® ABSは、衝撃性・成形性・塗装性などのバランスを特徴とするABSブランドです。
韓国・アジア系の調達比較では定番候補のため、メーカー一覧に入れておくと強いです。
販売終了・撤退(過去に流通していたメーカー)
旭化成株式会社(スタイラック™ ABS)※事業終了
ABS
販売終了
過去グレード
参考情報
公式発表
旭化成はスチレン系樹脂(SAN/ABS/ACS:スタイラック™等)事業の終了を公式に公表しています。
本ページでは、現行の「主要メーカー」からは除外し、過去情報として掲載しています。
用途別|ABS樹脂ペレット選定の考え方
ABS材料の選定では、まず「一般(バランス)」「高流動」「耐熱」「難燃」「めっき・塗装」「強化(GF)」など、
どの特性を優先するかを明確にすることが重要です。
家電筐体では外観品質・剛性・寸法安定性、電装用途では難燃・規格対応、
自動車内装では低臭・低VOC・耐熱・塗装性などが主要な評価指標になります。
ABS / ASA / AES / SAN / PC/ABS|使い分け早見表
ABSは「耐衝撃×剛性×外観×加工性」のバランスが強みですが、用途によっては近縁材料(ASA/AES/SAN/PC-ABS)の方が最適な場合があります。
まずは何を最優先するかで候補を絞ると選定が速くなります。
目的別:最初の当たりをつける
耐候(屋外)
耐熱
透明外観
高耐衝撃
めっき・塗装
| 材料 | 得意領域 | 弱点(注意点) | 代表用途 |
|---|---|---|---|
| ABS | バランス(耐衝撃・剛性・外観・加工性) | 屋外耐候は弱め(用途次第でASA/AESへ) | 家電筐体、OA、雑貨、自動車内装 |
| ASA | 耐候性(屋外)・色相安定 | 低温衝撃や外観要求でグレード選定が重要 | 屋外部材、外装、耐候が必要な筐体 |
| AES | 耐候性+耐衝撃(屋外×衝撃) | 高光沢外観・塗装適性はグレード依存 | 屋外筐体、カバー、耐衝撃が必要な外装 |
| SAN | 透明性・耐薬品・硬さ(透明外観) | 耐衝撃はABSに劣ることが多い | 化粧品容器、透明雑貨、透明筐体 |
| PC/ABS | 耐熱・耐衝撃(車載・電装) | コスト上昇/成形条件管理が重要 | 車載内装、電装筐体、耐熱が必要な部材 |
迷ったら、まずは ABS(一般 or 高流動) を基準に試作し、屋外耐候が必要なら ASA/AES、
耐熱が厳しいなら PC/ABS、透明外観なら SAN へ分岐させると判断が早いです。
用途別|ABSグレード選定のチェックリスト
メーカー名より先に、購買・設計で揉めやすい評価軸を先に固定すると、試作回数と見積往復が減ります。
よくある用途と、優先順位の付け方
| 用途 | まず優先すべき特性 | 次点(トレードオフ) | 推奨グレード方向 |
|---|---|---|---|
| 家電筐体 | 外観(光沢・色ムラ)、寸法安定 | 衝撃、耐熱(熱変形) | 一般ABS / 外観グレード |
| 薄肉・高速成形 | 流動性(ハイフロー) | 衝撃・剛性・外観 | 高流動ABS |
| 電装筐体 | 難燃(規格)、耐熱 | 外観、衝撃 | 難燃ABS / 耐熱ABS |
| 自動車内装 | 耐熱、外観、臭気/揮発(要求がある場合) | 衝撃、塗装 | 耐熱ABS / 要求によりPC/ABS |
| めっき・塗装 | 表面性・密着・外観 | 衝撃、流動 | めっき/塗装適性ABS(専用) |
ポイント:材料選定が長引く時は、「外観」→「流動」→「規格」→「耐熱」の順で優先順位を固定すると意思決定が速くなります。
よくある質問(FAQ)
Q1. ABSは屋外で使えますか?
屋外用途は、紫外線や雨水で外観や物性が変化しやすいため、用途条件次第です。
屋外耐候が前提ならASA/AESを候補に入れ、ABSは屋内・準屋外(遮光条件)での採用が一般的です。
Q2. ABSの「高流動」を選ぶと何が起きますか?
薄肉成形や充填性が改善しやすい一方で、グレードにより衝撃・剛性・外観とのバランスが変わります。
薄肉・サイクル短縮を最優先する時に有効です。
Q3. ABSとPC/ABSはどう使い分けますか?
耐熱・耐衝撃が厳しい(車載・電装など)場合はPC/ABSが有利になりやすいです。
一方、コスト・成形安定性・外観の作り込みではABSが強いケースも多く、要求仕様から逆算するのが基本です。