
ポリプロピレン(PP)樹脂は、世界で最も広く使用されている熱可塑性樹脂のひとつであり、包装、自動車部品、建築材料、家電部品など幅広い用途に採用されています。近年はバイオPPやリサイクルPPといった環境配慮型製品も登場し、需要の高度化が進んでいます。本記事では、2025年時点のポリプロピレン樹脂ペレットの市場価格動向、市場規模、成長要因について詳しく整理します。
ポリプロピレン樹脂ペレット(PP Pellet)の市場価格と市場規模
1. 市場価格の動向(2025年6月時点)
2025年6月現在、世界市場でのポリプロピレン価格は次のように推移しています:
- 中国国内価格:7,278元/トン前後(6月20日時点)
- インド市場:約1,104ドル/トン(2025年第1四半期)
- ドイツ市場:約1,582ドル/トン(同)
- 北米市場:4月〜6月にかけて約−110ドル/トンの値下がり
全体としてアジア・欧州・北米ともに、前年同期比でやや価格調整局面が続いており、需給が緩和している状況です。背景には原料ナフサ・プロピレン価格の低下や中国市場の輸出動向、物流コストの緩和が挙げられます。
2. 世界市場規模と成長予測
- 2023年:年間生産量 約7,000万トン
- 2024年:市場規模 約114.6〜136.5億ドル
- 2025年:推定 約154〜169億ドル
- 2035年:年間生産量 約1億1,100万トンへ拡大予測(CAGR 約4.4%)
- 2030〜2035年の市場規模は約180〜240億ドルに達する見込み
分野別では包装用途(主に食品包装・フィルムなど)が約48%を占めており、次いで自動車部品(インテリア・バンパー等)、建築材料、電気・電子部品分野での需要が堅調です。
3. 地域別市場の特徴
地域別ではアジア太平洋地域(中国、日本、韓国、ASEAN)が最大の生産・消費地域となっており、2024年時点で全体の約36〜56%を占めています。
北米は約27〜35%、欧州は約20〜35%を構成しており、いずれも自動車産業・建築分野を中心に安定した需要があります。
4. 成長要因と注目トレンド
ポリプロピレン市場をけん引している成長要因としては以下が挙げられます:
- 自動車の軽量化・EV化に伴う樹脂部品需要の増加
- 食品包装やEコマース向け梱包材の需要拡大
- 建築・電気部品用途での堅調な需要
- バイオPP・リサイクルPPなど環境配慮型樹脂の普及と技術革新
5. 価格変動要因と今後の注視点
- 原料ナフサ・プロピレン価格の上昇・下落に連動
- 為替変動や物流コストの影響
- 米中貿易摩擦や中東情勢などの地政学的リスク
6. まとめ
ポリプロピレン樹脂ペレット市場は、中期的に年率約4〜5%の成長が見込まれ、包装・自動車・建築分野を中心に安定した需要が続いています。
近年は環境対応型樹脂の導入も進み、バイオPPやリサイクルPP製品の市場成長が加速しています。引き続き、原料価格・物流・国際関係などの影響が大きいため、当協会では今後も定期的な市場モニタリングを通じ、最新情報の発信に努めてまいります。