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ジアリルフタレート樹脂(PDAP)の歴史
ジアリルフタレート樹脂(PDAP)とは、揮発物が発生しない電気的特性に優れた熱硬化性樹脂です。T.F.Bradelyが1939年にジアリルフタレート樹脂を発見した後、1946年にW.Simpsonがジアリルフタレート樹脂についての重合反応の研究開発を行い工業用B-ポリマーを発見しました。ジアリルフタレート樹脂は、当時Shell Chemical社が発表した通り電気的特性に優れており成形材料として使用されてきました。1950年前半になるとMIL規格品にも指定されました。日本では、1960年頃にプレポリマーを輸入し不動化学工業社などが成形材料販売を行っていました。
ジアリルフタレート樹脂(PDAP)の製造方法
ジアリルフタレート樹脂は、始めにジアリルフタレートモノマーと有機過酸化物(ベンゾイルパーオキサイドなど)を塊状重合させ、その重合数値が約20%から30%になったときアルコールを多く添加させます。その後オルソと呼ばれる市販プレポリマーを分離沈殿させて、有機過酸化物触媒でラジカル重合しジアリルフタレート樹脂が製造できます。ちなみに、プレポリマー自体は白い粉末状のもので、分子量は約1万〜2万5千ぐらいです。
ジアリルフタレート樹脂(PDAP)の特長
- 電気的特性である絶縁性と寸法安定性が優れており、最も特徴的です。
- 耐水性・耐熱性・耐薬品性特性に優れています。
- 注型またはFRP成形材料で成形します。
ジアリルフタレート樹脂(PDAP)の成形加工条件
150〜170℃が一般的です。
2〜19.6MPa
1min/厚さ1mm
ジアリルフタレート樹脂(PDAP)のメイン用途
ジアリルフタレート樹脂は、電気的特性に優れている点が特徴的なため、電気部品のコネクターやスイッチ、コイル、プラグカバー等に使用されています。また、信号機やタンク、化粧板、システムキッチン、UVインキなどの用途にも使われています。