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エチレン酢酸ビニル原料ペレット(EVA Pellet)とは
エチレン酢酸ビニル(EVA:Ethylene Vinyl Acetate)は、エチレンと酢酸ビニル(VA)を共重合させた熱可塑性樹脂です。
EVAの設計自由度の中心はVA含有率であり、一般にVAが増えるほど結晶性が低下して材料は柔らかくなり、透明性・ヒートシール性・接着性が向上します。
一方で、剛性・耐熱性(融点)などは低下する傾向があるため、用途ごとにVA含有率と分子量(MFR/MI)を最適化してグレード設計されます。
EVAはポリエチレン(PE)由来の加工性を維持しながら、低温柔軟性(約−50℃付近までの可とう性)、
耐候性、耐応力亀裂性を付与できる点が強みです。
包装・農業フィルム、押出コーティング、シート、成形品、発泡体、電線被覆、ホットメルト接着剤、改質剤(ワックス/インキ)など、
「柔らかさ+量産加工性+耐久性」を同時に求める分野で広く採用されています。
EVA選定では、①VA含有率(柔軟性・接着性・透明性・シール性)、②MI/MFR(加工性・強度バランス)、
③用途適性(フィルム/成形/コーティング/ホットメルト/発泡等)、④添加剤・規制対応(食品接触、REACH等)の4点を軸に、
メーカーの物性表・推奨用途に基づいて候補グレードを絞り込みます。
酢酸ビニル(VA)含有率による分類(目安)
① VA含有率が低い(~約4%)
酢酸ビニル変性ポリエチレンとして扱われ、LDPEに近い剛性と加工性を保ちつつ、柔軟性や接着性をわずかに改善します。
フィルム・成形用途で「PEの延長」で使いやすいゾーンです。
② VA含有率が中程度(約4~30%)
EVAとして最も利用される領域で、柔軟性・透明性・シール性・耐衝撃性のバランスが取りやすく、包装・農業用途の主戦場になります。
グレード設計の幅が広く、フィルム、押出コーティング、発泡、ホットメルトまで用途展開が可能です。
③ VA含有率が高い(40%以上)
エチレン酢酸ビニルゴム(EVM)としてゴム弾性を強く示し、柔軟性・耐寒性を重視する用途に適用されます。
エチレン酢酸ビニル原料ペレット(EVA Pellet)の製品物性表と製造販売メーカー
東ソー株式会社|ウルトラセン®

東ソーの「ウルトラセン®」は高圧重合法で製造されるEVA樹脂シリーズです。
低温特性・耐候性・ゴム弾性に優れ、VA含有率の設計により接着性、柔軟性、ヒートシール性などを広いレンジで調整できます。
フィルム・シート・成形用途に加え、接着性を活かしたラミネート用途、ホットメルト接着剤、ワックス/インキ改質剤など、用途展開が広い点が特徴です。
プロ用途の実務では、まず「狙う用途(例:包装フィルムのシール強度、押出コーティングの密着、ホットメルトのタック/耐熱)」を明確化し、
ウルトラセンの物性表からVA含有率とMI/MFRの組合せで候補を絞り込み、必要に応じて添加剤設計(滑剤・アンチブロック・酸化防止等)を踏まえて採用グレードを確定します。
旭化成株式会社|サンテック™-EVA

旭化成の「サンテック™-EVA」は、包装・農業用途で要求される透明性、柔軟性、シール性のバランス設計に強みを持つEVAシリーズです。
一般にVA含有率が高いほど融点や剛性が低下し、柔らかさとシール性が向上するため、用途に応じてVA含有率とMI/MFRを選定します。
食品包装用途では、シール温度レンジ、ホットタック、ブロッキング性、滑り性などの実機評価と物性表の照合が重要になります。
サンテック™-EVAはフィルムやシートだけでなく、発泡用途などにも展開されており、
量産加工時の安定性(押出条件の許容幅、ロール巻取り性、外観品質)を重視するユーザーにとって扱いやすい選択肢です。
日本ポリエチレン株式会社|ノバテック™ EVA

日本ポリエチレンの「ノバテック™ EVA」は、高圧法で生産されるEVA樹脂で、VA含有率に応じて用途別にグレードが設計されています。
一般グレードでは剛性/透明性のバランスを取り、フィルム・小型容器グレードでは腰や光沢・透明性を重視、
農業フィルム向けでは加工性・柔軟性・透明性のバランスを重視するなど、実用途に合わせた使い分けがしやすい構成です。
実務上は、求めるフィルムの外観(透明/ヘイズ)、シール条件、耐ピンホール性、ブロッキング/滑り、耐寒性などを基準に候補を選び、
加工機(Tダイ、インフレ、ラミ、コーティング等)での再現性を確認して採用グレードを決定します。
宇部丸善ポリエチレン(UBE)|UBEポリエチレン(EVA)

宇部丸善ポリエチレン(UBE)のEVAは、超高圧法重合プロセスにより製造されるEVA樹脂です。
透明性と柔軟性を重視したラインナップを含み、重包装、ストレッチ、発泡、シート、農業用フィルムなど幅広い用途に対応します。
公式の物性一覧ページが公開されているため、VA含有率やMI/MFR、密度などの基礎指標から候補を絞り込みやすい点もメリットです。
用途選定では、フィルム用途なら「ヘイズ/透明性」「耐ピンホール」「シール性」「巻取り性」、
発泡用途なら「発泡倍率」「セル安定性」「柔軟性」「成形収縮」など、用途特性に合わせた評価軸でグレードを比較します。
ENEOS NUC株式会社(旧NUC)|EVA

ENEOS NUC(旧NUC)は、フィルム用途・押出用途・ホットメルト用途向けにEVAを展開しており、用途別に最適化されたグレードが揃っています。
包装用途では、外観品質と量産加工安定性が重要になるため、押出条件の許容幅、ブロッキング性、滑り性、シール性などを含めた実機評価と物性表の整合がカギになります。
EVAは用途によって「柔らかさ」だけでなく、密着(接着)やシール性能、タック/耐熱、外観などの要求が大きく異なります。
ENEOS NUCの製品情報から用途別の位置づけを確認し、要求仕様に近いグレードから試作評価を進めるのが効率的です。
三井・デュポン ポリケミカル株式会社|エバフレックス®

「エバフレックス®」は、成形・非成形用途を含む幅広い用途に向けて設計されたEVA樹脂シリーズです。
フィルム・シート・成形といった一般用途に加え、用途特性に合わせたグレード展開により、加工条件と性能要求の両立を狙いやすい構成になっています。
EVAを製品開発に使う場合は、物性表の数値(VA含有率、MI/MFR、密度、引張、硬度など)だけでなく、
最終製品側の評価(シール強度、ホットタック、密着、外観、耐寒、発泡性など)で「勝ち筋」を確認することが重要です。
エバフレックス®の製品ページから候補グレードの位置づけを掴み、評価設計(試作条件・評価項目)を固めていくとスムーズです。
EVAグレード選定の実務ポイント(短縮チェックリスト)
- VA含有率:柔軟性・透明性・接着/シール性の主因。要求性能からレンジを決める。
- MI/MFR:加工性と強度バランス。フィルム/コーティング/ホットメルト/成形で適正域が異なる。
- 用途適性:包装(シール/ホットタック)、農業(耐候/耐寒)、発泡(セル安定)、接着(タック/耐熱)など評価軸を分ける。
- 量産安定性:押出条件許容幅、巻取り性、ブロッキング/滑り、外観再現性で最終判断。
- 規制・要求:食品接触、REACH、顧客規格(添加剤制限など)を早期に確認。