樹脂プラスチック材料環境協会 / Resin & Plastic Materials Environmental Association

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原料・素材・材料

LCP(液晶ポリマー)樹脂ペレット|主要メーカー一覧と用途別グレード選定ガイド(薄肉コネクタ対応)

LCP(Liquid Crystal Polymer / 液晶ポリマー)は、薄肉でも流れる(超高流動)・高耐熱(リフロー対応)・低吸水(寸法安定)・難燃(自己消火)が揃うスーパーエンプラです。
特に電装コネクタ(SMT/リフロー)・高密度/薄肉部品・精密嵌合・小型ギア/機構部(条件次第)で、「PPS/PPAでも薄肉が流れない」「反り/寸法が詰む」「耐熱が足りない」領域の最終カードになりやすい材料です。

一方でLCPは“入れれば勝ち”ではなく、選定を外すと反り(異方性)・層状割れ/クラック(ウェルド/応力)・バリ(低粘度)・外観(ジェッティング/ガス焼け)・接着/塗装の難しさが落とし穴になります。
LCPはまず「薄肉流動(0.1〜0.3mm級)」「平面度/低反り」「耐熱(リフロー温度)」「高剛性(GF/ミネラル)」「摺動/低摩耗」のどれを最優先するかを固定すると、メーカー/グレード候補が一気に絞れます。


基礎を先に押さえる(1分)|LCPとは?

材料基礎 薄肉 高流動 高耐熱 低吸水 難燃

LCPの特徴(薄肉流動・耐熱・寸法安定・難燃)や、用途の考え方は下記ページにまとめています。
“材料の全体像 → 用途別の勝ち筋 → メーカー候補化”の順に見ると、選定が最短で終わります。

基礎:LCPとは(特性・用途)を見る


まずはここだけ見ればOK|LCPの“推奨グレード方向”クイックガイド

LCPの勝ち筋は、「薄肉(最小肉厚)」「リフロー温度(鉛フリー想定)」「平面度(反り/ねじれ)」「電気(難燃/CTI/絶縁)」「強度(GF/ミネラル)」「摺動(摩耗/摩擦)」「外観(黒/ナチュラル/レーザー)」のどれを最優先するかで決まります。
下の表で自社用途に最も近い“1つ”を選び、そこからメーカー候補へ進むのが最短です。

薄肉 SMT/リフロー 高流動 低反り GF/ミネラル 電装

用途のタイプ 最優先すべき特性 まず選ぶグレード方向 コメント(落とし穴)
薄肉SMTコネクタ(0.1〜0.3mm級) 超高流動・耐熱(リフロー)・難燃 超高流動LCP(非強化 or 低GF)+必要なら低反り設計 流れるほどバリ/ガス焼けが出やすい。ベント/型精度もセットで
平面度が最重要(反りNG) 低反り・低CTE・寸法再現性 低反り設計(GF+ミネラル等)/配向を抑える設計系 材料だけでなくゲート/流動方向が支配。金型設計で勝負が決まる
高剛性・強度(薄肉でも剛性) 曲げ剛性・耐クリープ・寸法 GF強化(30〜40%級)/高剛性シリーズ GFで反りが増える方向もある。低反り設計とセットで
耐熱を最優先(高温周辺/長期) 耐熱老化・寸法・電気特性 高耐熱タイプ(用途温度に合わせる) 「短期リフロー」か「長期連続温度」かを先に分けると迷わない
摺動・摩耗(機構/可動) 耐摩耗・低摩擦・鳴き 摺動改質(潤滑/耐摩耗)+必要ならGF 相手材・面圧・温度で結果が変わる。評価条件固定が重要

この表で方向性を決めてからメーカーを見ると、見積を取る“グレードカテゴリ”が即決できます。


LCP|主要メーカーの強みを一目で比較

LCP 薄肉 電装 低反り 高剛性 グローバル調達

メーカー / ブランド 強いテーマ 強み(選定軸) 典型用途 調達観点
Celanese|Vectra® / Zenite®(LCP) グローバル定番・薄肉電装 薄肉・耐熱・電装向けの代表銘柄。比較の“ベンチマーク”に置きやすい コネクタ、ソケット、精密部品 多地域比較の軸
ポリプラスチックス|LAPEROS®(LCP) 薄肉・高流動・精密 薄肉精密の探索がしやすく、シリーズで“高流動/低反り/強化”を作りやすい 小型コネクタ、精密嵌合 国内調達の基準候補
住友化学|SUMIKASUPER™(LCP) 高耐熱・超高流動 耐熱×薄肉の設計に寄せやすい。電装や薄肉で候補に上がりやすい コネクタ、LED/電装周辺 国内・アジア調達で強い
Xydar®(Solvay系)|国内:ENEOSサンエナジー取扱 平面度/剛性・コネクタ “低反り・高剛性・強ウェルド”など、コネクタ設計の癖に刺さるカテゴリが作りやすい コネクタ、精密部品 国内サイト起点で追いやすい
東レ|SIVERAS™(LCP) 国内LCPの選択肢 国内メーカーとして比較軸に置きやすい。用途要件で検討しやすい 電装、精密部品 国内調達/BCP
上野製薬|UENO LCP® 独自開発・国内LCP 高流動/耐熱/高強度など用途別のタイプを作りやすい(相談起点で進めやすい) 電装、精密、工業用途 国内相談で進めやすい

最初は「薄肉を通す(高流動)」or「平面度を守る(低反り)」or「剛性を取りに行く(強化)」のどれを軸にするかで、勝ち筋メーカーが決まります。


LCPで失敗しやすいポイントTOP5|ここを潰すと試作が速くなる

反り 異方性 ウェルド バリ 外観

LCPは強い材料ですが、条件を外すと反り・割れ・バリ・外観不良が出やすいです。
下の5項目を先に潰すだけで、手戻りが大きく減ります。

よくある失敗 起きやすい現象 まずやる対策 代替候補の目安
① 異方性(配向)を甘く見る 反り/ねじれ、平面度NG、方向で物性が変わる ゲート位置・流動方向・肉厚を先に設計。低反り設計グレードも同時に比較 PPS(反り許容なら)/ PPA
② ウェルド/応力で割れる(層状割れ) ウェルド割れ、組立時クラック、落下割れ 角R・応力集中を潰し、ウェルド位置を制御。強ウェルド/タフ寄りのグレードも候補化 PPA(タフ系)/ PA(温度次第)
③ バリ(低粘度)で金型が勝てない バリ、寸法NG、型合わせ部の摩耗 型精度・型締め・ガス抜きの最適化。射出条件だけで勝とうとしない PPS(流動が足りるなら)
④ 外観(ジェッティング/焼け/ガス) 流れ模様、焼け、ガス跡、充填不良 ベント設計・射出速度プロファイル・滞留対策。ゲート設計が効きやすい PPS / PBT(外観優先なら)
⑤ 接着/塗装/二次加工の前提が曖昧 接着しない、塗装が乗らない、印字が安定しない 二次加工が必要なら表面処理/プライマー/レーザーマーキング対応など要件を先に固定 PPA / PEI(要件次第)

コツ:「材料→評価」ではなく、条件(肉厚/リフロー/反り許容)→カテゴリ(LCPの型)→材料の順にすると最短で決まります。


LCP vs 他エンプラ|用途起点の早見比較

材料 得意領域 弱点 LCPとの関係(使い分け)
LCP 薄肉・精密・SMTリフロー・難燃 異方性(反り)・割れ(ウェルド/層状)・バリ 薄肉電装の最終カード。PPS/PPAで詰むときに
PPS 耐熱・耐薬品・低吸水・量産安定 薄肉流動はLCPほど強くない まずPPSで成立確認 → 薄肉/精度で詰んだらLCP
PPA 高耐熱・靭性(タフ)・電装 吸水/寸法や薬品は設計が必要 割れにくさを優先するならPPA、薄肉/リフロー最優先ならLCP
PBT 電装・寸法安定・量産コスパ リフロー温度/薄肉は限界が出やすい 温度が許せばPBTが量産最適解、薄肉/耐熱が上がるとLCP
PA(ナイロン) 靭性・摺動・改質幅 吸水(寸法)・高温高湿 寸法/耐熱/難燃が厳しいならLCP側へ
PEEK 超耐熱・超耐薬品・高信頼 高コスト・加工難度 LCPでも耐熱/薬品が足りない“さらに上”の領域

迷ったら「最小肉厚」「リフロー温度」「平面度(反り許容)」を先に固定すると、候補が自然に絞れます。


電装・コネクタ用途のLCP|“選び方”専用ブロック

電装 コネクタ SMT 薄肉 低反り 難燃

電装・コネクタは「LCPならOK」では決まりません。勝負は肉厚(最小)リフロー温度、そして平面度(反り)と割れ(ウェルド/応力)です。
下の3ステップで、候補を一気に絞れます。

ステップ 決めること 選ぶ材料方向 メモ
1 リフロー条件(ピーク温度/回数)・難燃/電気規格(厚み条件) 電装向けLCP(規格対応系) 厚み条件が曖昧だと候補が無限に増える
2 最小肉厚・流動長・多点(充填条件) 超高流動(非強化〜低強化)+必要なら低反り設計 材料だけでなく型精度/ベントで結果が変わる
3 反り・平面度・割れ(ウェルド/応力) 低反り設計/強ウェルド系も比較 評価は“同一金型・同一条件”で比較が鉄則

実務TIP: コネクタの割れ/クラックは、材料だけでなくゲート・角R・応力・ベント・バリでも大きく変わります。


寸法・反りトラブル回避チェック|3分で事故を減らす

反り 平面度 流動方向 ゲート 嵌合

LCPは低吸水で寸法が強い一方、配向(異方性)で反り・寸法が決まりやすい材料です。
下のチェックがYESなら、トラブルの大半を先に潰せます。

チェック項目 YESの目安 推奨アクション
① 反り/平面度の許容値が決まっている 嵌合・端子位置で許容が明確 “平面度が支配”なら低反り設計を最優先で候補化
② 流動方向を設計できる(ゲート自由度) ゲート位置/多点の自由度あり LCPは配向が強い。材料だけでなくゲート/肉厚/リブで潰す
③ バリ対策(型精度/型合わせ)ができる 微細部で型が勝てる設計 高流動ほどバリが出やすい。型精度/型締め/射出圧の上限も要件化
④ ウェルド・応力の対策がある 割れのリスク部位が把握できている 強ウェルド系や形状(角R/応力分散)もセットで

結論: LCPは「材料+配向設計(ゲート/流動)」がセット。ここを固めると量産が一気に安定します。


LCP樹脂ペレット|主要メーカー(公式リンク)

※撤退・統合などで情報が古くなると比較が崩れるため、公式リンク起点でたどれる構成にしています(順不同)。

Celanese(Vectra® / Zenite®|LCP)

LCP 薄肉 電装 リフロー グローバル

Vectra® / Zenite® は、薄肉電装や精密部品の比較軸になりやすい代表シリーズです。
まずは「超高流動(薄肉)」「低反り」「強化(GF/ミネラル)」「規格(難燃/電気)」のどれを優先するかを決め、同カテゴリで横並び比較すると選定が速くなります。

公式:Vectra® / Zenite® LCP 製品情報を見る

ポリプラスチックス株式会社(LAPEROS®|LCP)

LCP 薄肉 高流動 精密 国内基準

LAPEROS® は、薄肉・高流動と精密用途を軸に、グレード探索が進めやすいシリーズです。
コネクタ用途では「最小肉厚」「平面度」「バリ許容」を先に固定して比較すると、手戻りが減ります。

公式:LAPEROS® LCP 製品情報を見る

住友化学株式会社(SUMIKASUPER™|LCP)

LCP 高耐熱 超高流動 電装 薄肉

SUMIKASUPER™ は、薄肉用途や耐熱要求が強い領域で候補に上がりやすいLCPシリーズです。
「リフロー耐熱」か「長期耐熱」かを分けて要件化すると、グレード選定が速くなります。

公式:SUMIKASUPER™ LCP 製品情報を見る

液晶ポリマー(LCP樹脂) ザイダー(Xydar®)|国内:ENEOSサンエナジー

LCP 低反り 高剛性 コネクタ 国内サイト

Xydar® はコネクタ・精密用途で、低反り/高剛性/強ウェルドなど“設計の癖”に刺さるカテゴリを作りやすいのが特長です。
平面度やウェルド割れが課題なら、最初から比較候補に入れると試作が速くなります。

公式:ザイダー(Xydar®)製品情報を見る

東レ株式会社(SIVERAS™|LCP)

LCP 国内 電装 精密 BCP

SIVERAS™ は国内メーカーのLCPとして、用途要件に合わせて比較検討しやすいシリーズです。
国内調達・BCP観点で選択肢を持ちたい場合、ベンチマークに置きやすい候補です。

公式:SIVERAS™ LCP 製品情報を見る

上野製薬株式会社(UENO LCP®)

LCP 国内 高流動 耐熱 高強度

UENO LCP® は高流動・耐熱・高強度など、用途別にタイプを作りやすいLCP材料です。
「薄肉を通したい」「平面度を守りたい」など要件を先に固定して相談すると、候補化が進みやすくなります。

公式:UENO LCP® 製品情報を見る


よくある質問(FAQ)

Q1. LCPで一番多い失敗は?

多いのは反り(異方性/配向)割れ(ウェルド/応力、層状割れ)です。
LCPは低吸水で寸法が強い反面、流動方向で物性と収縮が変わりやすいため、ゲート/流動設計まで含めて比較すると手戻りが減ります。

Q2. LCPは乾燥が不要って本当?

LCPは吸水が小さく、他樹脂ほど“吸水起因の寸法変動”は起きにくい一方で、材料保管・再生材・環境によっては外観や成形安定に影響することがあります。
現場では「乾燥条件を固定して比較」した方が、評価がブレにくくなります(結局、手戻りが減ります)。

Q3. PPS/PPAからLCPへ切り替える判断基準は?

目安は最小肉厚(流動)リフロー温度、そして平面度(反り許容)です。
PPS/PPAで薄肉が流れない・端子位置が出ない・リフロー後に反るなどが出たら、LCPの比較価値が上がります。


関連ページ(あわせて読む)


なぜLCPなのか?|「PPS/PPAでは詰む条件」を一気に越える理由

薄肉 SMT/リフロー 高流動 低吸水 難燃 精密

LCPが選ばれる理由はシンプルで、「最小肉厚 × リフロー耐熱 × 平面度(反り)」の同時要求が来たとき、PPS/PPAの延長線では成立しにくい領域を一気に越えられるからです。
特にSMTコネクタ・高密度小型化・端子位置精度が厳しい電装では、LCPの優位性がはっきり出ます。

LCPを選ぶ典型トリガー 現場で起きがちな問題(PPS/PPA) LCPが刺さる理由 実務の注意点
① 最小肉厚が0.3mm以下
(0.1〜0.2mm級)
流れない、ショートショット、端子保持部が未充填 超高流動で極薄肉でも充填しやすい。高密度コネクタで実績多数 流れるほどバリ/ガス焼けも出やすい。型精度とベント設計が必須
② 鉛フリーリフロー(高温ピーク) リフロー後に反り、端子位置ズレ、熱変形 高耐熱+低吸水で、リフロー後も寸法が安定しやすい 「短期ピーク」か「長期連続温度」かを分けて要件化
③ 端子位置・平面度がシビア PPS/PPAで反り・ねじれが出る 低吸水で寸法安定。低反り設計グレードも選べる 配向(異方性)が支配的。ゲート/流動方向で結果が変わる
④ 小型化で剛性も欲しい 薄肉で剛性不足、端子保持力が足りない GF強化などで薄肉でも高剛性設計が可能 GFは反りを助長する方向も。低反り設計とセットで検討
⑤ 難燃・電気特性が必須 薄肉で規格が通らない、温度上昇で不安 電装向け材料として難燃実績が豊富 規格は厚み条件を必ず固定して比較

結論: 「最小肉厚」「リフロー耐熱」「平面度(反り)」のうち2つ以上が同時に厳しいなら、LCPは“検討コストに見合う”確率が高い材料です。
ただしLCPの落とし穴は異方性(配向)とウェルド割れなので、材料だけでなくゲート設計・型精度・応力集中対策まで含めて比較すると、試作が一気に速くなります。

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