
2025年上期のアクリル樹脂ペレット市場では、原料コストの抑制と緩やかな需要回復により、価格が横ばい〜若干下降傾向を示しています。本記事では、政府統計や業界レポート、実需価格データを交えて、よりリアルな価格推移をお届けします。
1.市場価格の推移(2024年末~2025年中旬)
📉 中国・東南アジア現地のスポット価格
- 2025年2〜4月、中国・東莞(主要生産地)のPMMAペレット価格は、1トンあたり900元超の大幅下落を記録 (fareastnetwork.co.jp, fareastnetwork.co.jp)。
- スチレンやABSなど他樹脂も軒並み200〜400元下落傾向にあり、PMMAも同市場全体の下降圧力を反映しています (fareastnetwork.co.jp)。
📊 米欧スポット価格レポートより
- 米国・欧州では、2025年に入りコモディティ樹脂価格は“flatten to down (横ばい〜下落)”の動きが継続中 (plasticstoday.com)。
- アクリル分野でも同様の傾向が見られ、スポット市場での下落圧力が続いています 。
💵 Japanese market in JPY
- 中国現地価格900元下落を平均為替(1元 ≒ 17円)で試算すると、1万5,300円/トンの値下がりに相当。
- 日本国内向けではこの影響を受けて、1トンあたり約250,000~300,000円前後に調整されている見通しです(参考値)。
2.価格に影響する主要因
- 原料MMA価格:北東アジアでは1.0 USD/kg 水準で推移。為替や物流コストと合わせ、樹脂価格に反映 💡(fareastnetwork.co.jp)。
- 輸出関連環境:米中関係、中国の輸出環境の変化がスポット価格に影響 。
- 需給逼迫感の低下:2024年に続く在庫調整局面が継続しており、価格の上昇抑制につながっています。
3.市場規模と将来展望
- 2024年:約223億USD
- 2025年:約234億USD(前報告)
- 2032年:約338億USD見込みで、年平均5%超の成長が予測されています 。
- モノマー市場(MMA)も**2025年55億USD → 2030年71億USD(CAGR 5.2%)**と成長中 。
4.用途別・地域別の市場背景
- 用途分野:自動車部品、光学機器、建築用透明材など用途が拡大中 (plasticjournal.net)。
- 地域構成:特にアジア太平洋地域は世界最大の市場で、北米・欧州も堅調な需要をキープ 。
5.キープポイントと注目課題
ポイント | 内容 |
---|---|
📊 価格動向の傾向 | 下落圧力強く、スポット市場では低迷傾向が続く |
💡 影響要因 | 原料MMA価格、為替、物流、地政学・関税問題 |
🌍 成長見込み | 長期的には用途多様化で安定成長が継続予想 |
🔧 環境対応技術 | 水性・UV硬化型アクリルへの転換が加速中 |
6.まとめ
2025年上期のアクリル樹脂ペレット市場は、大幅な価格下落と安定成長の二重構造が特徴です。価格面では原材料コストと貿易条件の変化に連動しスポット市場での調整が続いていますが、用途が多様化する中で、アクリル市場の裾野は拡大傾向にあります。