樹脂プラスチック材料環境協会 / Resin & Plastic Materials Environmental Association

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原料・素材・材料

PPA(ポリフタルアミド)樹脂ペレット|主要メーカー比較と選定ガイド(高耐熱ナイロン)

PPA(Polyphthalamide / ポリフタルアミド)は、いわゆる“高耐熱ナイロン(半芳香族PA)”の代表格で、高温でも剛性・強度が落ちにくい/耐薬品/電気特性/薄肉成形性のバランスが強いスーパーエンプラです。
特に車載(電動化・熱マネジメント周辺)/電装コネクタ(SMT/リフロー)/ポンプ・ハウジング/金属代替ブラケットなど、「PA66では温度が足りない」「PPSは靭性や接合で詰む」「LCPほど薄肉極限は要らないが、耐熱と寸法は欲しい」領域の最適解になりやすい材料です。

一方でPPAは“入れれば勝ち”ではなく、選定を外すと吸水・加水分解(熱×水)/反り(GF強化)/溶着・接着の相性/成形窓の狭さ(乾燥・温度管理)が落とし穴になります。
PPAはまず「連続使用温度(長期)」「熱・湿度環境(冷却水/不凍液/スチーム/高湿)」、さらに「難燃・電気規格(厚み条件)」を固定すると、メーカー/グレード候補が一気に絞れます。


PPA 高耐熱ナイロン 電装 車載 金属代替 乾燥重要

このページで最短で決める:下の“クイックガイド”で用途タイプを1つ選ぶ → メーカー候補を当てる → 失敗ポイントを先に潰す(試作が速くなります)。


基礎を先に押さえる(1分)|PPAとは?

材料基礎 半芳香族PA 耐熱 電気 耐薬品

PPAの強み(現場メリット)

  • 高温で剛性が落ちにくい(金属代替・薄肉剛性に効く)
  • 電装向けに作りやすい(難燃・電気・リフロー周辺の実績)
  • 耐薬品のバランスが良い(用途条件に合わせて選べる)

落とし穴(先に要件化)

  • 熱×水(冷却水/高湿)での長期劣化(加水分解・強度低下)
  • 乾燥・温度管理が甘いと外観/物性/ガスが崩れやすい
  • GF強化は反りが出やすい(ゲート/流動設計もセット)

実務のコツ:「短期ピーク温度(例:リフロー)」と「長期連続温度(寿命設計)」を分けて考えると、PPAのグレード選定がブレません。


まずはここだけ見ればOK|PPAの“推奨グレード方向”クイックガイド

PPAの勝ち筋は、「温度(長期)」「熱×湿度(冷却水/高湿/耐加水分解)」、そして「電気(難燃/CTI/GWIT等)」の優先順位で決まります。
下の表で自社用途に最も近い“1つ”を選び、そこからメーカー候補へ進むのが最短です。

車載 電装 耐加水分解 GF 難燃 金属代替

用途のタイプ 最優先すべき特性 まず選ぶグレード方向 コメント(落とし穴)
電装コネクタ(SMT/リフロー) 耐熱+電気+難燃(厚み条件)+寸法 電装向け難燃PPA(必要に応じGF) 規格は厚み条件で結果が変わる。条件固定が最優先
冷却水・高湿(熱×水)環境 耐加水分解・耐不凍液・長期強度 耐加水分解/耐クーラント設計PPA “温度だけ”で選ぶと寿命が崩れる。熱×水の条件を先に決める
金属代替(ブラケット/ハウジング) 高剛性・耐クリープ・耐熱 GF強化(30〜50%)+必要なら耐熱安定化 GFは反りが出やすい。ゲート/流動設計とセットで
薄肉・精密(LCPほど極薄は不要) 流動・寸法再現・外観 高流動PPA(非強化〜低GF) 乾燥不足→銀条/ガス/物性低下。評価は乾燥条件固定が鉄則
耐薬品・油脂が重要 耐油・耐燃料・耐グリース 耐薬品寄りのPPA系(用途媒体に合わせる) “媒体×温度×時間”で結果が変わる。評価条件を先に固定

この表で方向性を決めてからメーカーを見ると、見積を取る“グレードカテゴリ”が即決できます。


PPA|主要メーカーの強みを一目で比較(公式リンク起点)

PPAはブランドごとに「電装に強い」「耐湿・耐加水分解に寄せている」「金属代替の高剛性を作りやすい」など得意が分かれます。
下の表は公式情報へ辿れる“入口”として整理しています(撤退/統合があっても崩れにくい構成)。

Zytel HTN Ultramid Advanced Amodel Grivory HT Rilsan HT GENESTAR

メーカー / ブランド 強いテーマ 強み(選定軸) 典型用途 公式リンク
Celanese|Zytel® HTN(PPA) 電装・車載の定番候補 高温域の強度・剛性と、電装用途での使い方が組みやすい 高温コネクタ、ハウジング、金属代替 Zytel® HTN(PPA)
BASF|Ultramid® Advanced(PPA) 幅広いポートフォリオ PPAのポートフォリオとして整理されており、用途別に当てやすい 車載E&E、機構部品、金属代替 Ultramid® Advanced(PPA)
EMS|Grivory® HT 高温剛性・金属代替 高温域の剛性・耐薬品・低吸水寄りの設計に当てやすい 構造部品、ハウジング、機構部 Grivory® HT
Syensqo(旧Solvay Specialty Polymers)|Amodel® PPA 高温+高湿+耐薬品 高温・高湿・化学環境での耐久設計を当てやすい 車載流体周り、E-mobility、金属代替 Amodel® PPA
Arkema|Rilsan® HT(PPA) 柔軟×耐熱(配管・チューブ系) “PPAの耐熱”に“柔軟性”を寄せた設計で、チューブ用途に刺さりやすい 高温配管、チューブ、金属配管代替 Rilsan® HT
Kuraray|GENESTAR™(PA9T系) 低吸水・電装(SMT) 低吸水・耐熱・電気特性のバランスが取りやすい(電装用途で候補化しやすい) SMTコネクタ、電装部品 GENESTAR™
Envalior|ForTii®(PPA) 高融点PPA・高剛性 高芳香族・高剛性寄りの設計で、金属代替/高温構造に当てやすい 構造部品、ブラケット、ハウジング ForTii®

最短ルート:まず「電装(難燃/電気)」or「熱×水(耐加水分解)」or「金属代替(高剛性GF)」のどれを軸にするかを決めると、メーカー候補が自然に絞れます。


PPAで失敗しやすいポイントTOP6|ここを潰すと試作が速くなる

吸水 加水分解 乾燥 反り 難燃 規格

PPAは強い材料ですが、条件を外すと“長期寿命”“量産安定”で手戻りが出ます。下の6項目を先に潰すだけで、評価のやり直しが大きく減ります。

よくある失敗 起きやすい現象 まずやる対策 代替候補の目安
① 温度“だけ”で材料を決める 熱×水で長期劣化、割れ、強度低下 温度+湿度/冷却水/不凍液の寿命条件を要件化(媒体×温度×時間) PPS(媒体次第)/ PEEK(さらに上)
② 乾燥条件がブレる 銀条、ガス、物性低下、成形不安定 乾燥条件・保管・滞留を固定して比較(“乾燥も仕様” —(工程管理で勝つ領域)
③ GF強化で反り/寸法が詰む 反り、ねじれ、嵌合NG、ばらつき 材料だけでなくゲート/流動方向/リブをセットで設計。必要なら低反り設計系へ LCP(薄肉・精密)/ PPS(寸法安定)
④ 難燃・電気規格の“厚み条件”が曖昧 規格が通らない、候補が無限に増える 必要規格を厚み条件込みで固定してから候補化(同条件で比較) LCP(薄肉電装)/ PBT(温度次第)
⑤ 溶着・接着・二次加工の前提が曖昧 溶着不良、リーク、接着が安定しない 二次加工が必須なら、材料選定と同時に工法(溶着/接着/ねじ)を決める PPS(溶着条件次第)/ PA系(温度次第)
⑥ 滞留・熱履歴で焼け/脆化 黒点、焼け、脆化、外観不良 滞留を避ける(成形機・ランナー・ゲート設計、パージ手順も含む) —(工程最適化が近道)

コツ:「材料→評価」ではなく、条件(温度×湿度/媒体・規格厚み・反り許容)→カテゴリ(PPAの型)→材料の順にすると最短で決まります。


PPA vs 他エンプラ|用途起点の早見比較

材料 得意領域 弱点 PPAとの関係(使い分け)
PPA 高温剛性・電装・金属代替・薄肉(中〜高) 熱×水で寿命設計が必要/乾燥・温度管理の影響が大きい 「耐熱×剛性×電気」のバランスが欲しいときの本命
PPS 耐薬品・低吸水・量産安定(寸法) 靭性や接合・外観で詰むことがある/薄肉流動は条件次第 寸法・耐薬品・安定量産重視ならPPS、剛性や電装でPPAへ
LCP 極薄肉・SMTリフロー・難燃(薄肉) 異方性(反り)・ウェルド割れ・バリ 最小肉厚が厳しいならLCP。極薄が不要ならPPAが扱いやすい
PA(PA66等) 靭性・コスパ・改質幅 高温域や寸法(吸水)で限界 温度/電装/薄肉で詰んだらPPAへ
PEEK 超耐熱・超耐薬品・高信頼 高コスト・加工難度 PPAでも寿命/媒体が足りない“さらに上”の領域

迷ったら「連続使用温度(長期)」「熱×湿度(媒体)」「規格(厚み条件)」を先に固定すると、候補が自然に絞れます。


PPAの成形・乾燥|“やること”だけまとめ(現場向け)

乾燥 ガス 滞留 反り 量産安定

① 乾燥は“条件固定”が最重要

PPAは乾燥不足があると、外観(銀条/ガス)・成形安定・物性のブレが出やすくなります。
評価の段階から乾燥条件を仕様として固定し、材料比較のブレを潰すのが最短です。

② 滞留(熱履歴)を避ける

高温材料ほど滞留→焼け/黒点/脆化に繋がりやすいです。成形機サイズ、スクリュー、ランナー体積、パージ手順まで含めて“滞留を作らない”設計が効きます。

③ GF強化は“反り設計”がセット

高剛性を取りに行くほど、反り・ねじれ・寸法ばらつきが出やすくなります。
早い段階でゲート位置・流動方向・リブ/肉厚まで設計に入れると、試作が一気に安定します。

④ 寿命評価は“媒体×温度×時間”で

冷却水/不凍液/高湿など「熱×水」環境は、温度だけの比較だと外しやすいです。
実使用に近い媒体・温度・時間を先に固定してから材料を比較すると、設計変更が激減します。

結論: PPAは「材料」より先に工程(乾燥・滞留・反り設計)を固めるほど、量産が速く・安定します。


PPA樹脂ペレット|主要メーカー(公式リンク)

※撤退・統合などで情報が古くなると比較が崩れるため、公式リンク起点でたどれる構成にしています(順不同)。

Celanese(Zytel® HTN|PPA)

PPA 電装 車載 難燃 GF

Zytel® HTN は、電装・車載で候補に上がりやすいPPA系の代表格です。
まずは「難燃/電気(厚み条件)」「熱×湿度」「高剛性(GF)」のどれを軸にするかを決め、同カテゴリで横並び比較すると選定が速くなります。

公式:Zytel® HTN(PPA)製品情報を見る

BASF(Ultramid® Advanced|PPA)

PPA ポートフォリオ 車載 電装 FR

Ultramid® Advanced は、用途別に当てやすいPPAポートフォリオとして整理されており、初期の候補出しがしやすいシリーズです。

公式:Ultramid® Advanced(PPA)製品情報を見る

Syensqo(旧Solvay)|Amodel® PPA

PPA 高温 高湿 耐薬品 E-mobility

Amodel® PPA は、高温・高湿・化学環境など“厳しい条件”を前提にした設計で候補化しやすいPPAファミリーです。

公式:Amodel® PPA 製品情報を見る

EMS(Grivory® HT)

高剛性 金属代替 耐熱 構造部品 低吸水

Grivory® HT は、高温域の剛性・耐薬品などを軸に、金属代替の設計へ当てやすい材料群です。

公式:Grivory® HT 製品情報を見る

Arkema(Rilsan® HT|PPA)

PPA 柔軟 配管 高温 金属代替

Rilsan® HT は、PPAの耐熱に加え、柔軟性を活かした用途(チューブ/配管系)で強みを出しやすい材料レンジです。

公式:Rilsan® HT 製品情報を見る

Kuraray(GENESTAR™|PA9T系)

PA9T 低吸水 電装 SMT 耐熱

GENESTAR™ は、低吸水・耐熱・電気特性のバランスで、電装用途(特にSMT周辺)で候補化しやすい材料です。

公式:GENESTAR™ 製品情報を見る


よくある質問(FAQ)

Q1. PPAで一番多い失敗は?

多いのは「熱×水(媒体/高湿)を甘く見て寿命が崩れる」と、「乾燥・温度管理のブレで量産が不安定」です。
PPAは“温度性能”だけでなく、湿度・冷却水・不凍液などの環境条件をセットで要件化すると手戻りが激減します。

Q2. PPAはPPSより何が良い?

ざっくり言うと、PPAは高温での剛性(機械)と電装(規格/電気)を軸に設計しやすく、PPSは耐薬品・低吸水・量産安定(寸法)が強い、という使い分けになりやすいです。
「剛性/保持力/電装の勝ち筋」を優先するならPPA側、媒体や寸法安定を優先するならPPS側で当てると速いです。

Q3. PPAはLCPの代わりになる?

最小肉厚が極限(0.1〜0.3mm級)や、薄肉難燃の厳しさが強いならLCPが有利になりやすいです。
逆に、極薄まで要らず「耐熱×剛性×電装のバランス」で成立するなら、PPAの方が設計自由度や靭性側で扱いやすいケースがあります。


関連ページ(あわせて読む)


なぜPPAなのか?|「PA66では足りない」を現実的に越える理由

耐熱 剛性 電装 金属代替 車載 寿命設計

PPAが選ばれる理由はシンプルで、「高温でも剛性を保ちたい」「電装要件(規格/寸法/リフロー)を満たしたい」が同時に来たとき、標準ナイロン(PA66など)の延長線では成立しにくい領域を現実的に越えやすいからです。
ただしPPAの勝敗は、材料スペックよりも熱×湿度(媒体)工程(乾燥・滞留)の設計で決まります。

PPAを選ぶ典型トリガー 現場で起きがちな問題(PA66等) PPAが刺さる理由 実務の注意点
① 高温で剛性・保持力が必要 高温でたわむ、保持力が落ちる、クリープ 高温域でも強度・剛性を保ちやすい GF強化は反りが出やすい。設計とセットで
② 電装(難燃/電気)+耐熱が同時に必要 規格が通らない、リフローで変形 電装向けに難燃・電気設計されたグレードを選びやすい 規格は厚み条件を固定(ここが最重要)
③ 金属代替で軽量化したい 金属から落とすと剛性不足・耐熱不足 GF強化で金属代替設計がしやすい 反り・インサート・溶着など工法も同時に決める
④ 熱×湿度(媒体)で寿命が必要 高湿・冷却水で強度低下、クラック 耐久を見た材料設計の選択肢がある “温度だけ”で選ばない(媒体×温度×時間)

結論: 「高温で剛性が必要」かつ「電装要件(規格/寸法)」が絡むなら、PPAは“検討コストに見合う”確率が高い材料です。
ただし落とし穴は熱×水(寿命)工程(乾燥・滞留)なので、ここを先に要件化すると試作が一気に速くなります。

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