
企業概要
BASF SE(ビーエーエスエフ)は、世界最大級の化学メーカーであり、ドイツ・ルートヴィヒスハーフェンに本社を構えています。1865年にフリードリッヒ・エンゲルホルンによって創業され、当初は染料の製造を目的として設立されました。現在では、世界93カ国に拠点を持ち、234の生産拠点を運営しています。
BASFは、化学、プラスチック、作物保護製品、パフォーマンス製品など、多岐にわたる製品を提供しており、特に高機能樹脂やプラスチック材料の分野で世界的なリーダーとして知られています。
沿革
- 1865年:ドイツ・マンハイムで「Badische Anilin- & Sodafabrik(バーデン・アニリン・アンド・ソーダファブリック)」として創業。
- 1873年:米国ニューヨークに最初の海外営業所を開設。
- 1925年:他の化学企業と合併し、IGファルベンを設立。
- 1952年:第二次世界大戦後、BASFとして再設立。
- 2009年:スイスのCiba Specialty Chemicalsを買収し、特殊化学品分野を強化。
- 2024年:新戦略「Winning Ways」を発表し、持続可能性と顧客のグリーントランスフォーメーション支援を目指す。
主な製品と技術
エンジニアリングプラスチック
BASFは、以下の高性能エンジニアリングプラスチックを提供しています:
- Ultramid®(PA):高強度・高耐熱性を持つポリアミド樹脂。
- Ultradur®(PBT):優れた寸法安定性と耐薬品性を備えるポリブチレンテレフタレート。
- Ultraform®(POM):高い機械的強度と低摩擦特性を持つポリアセタール。
- Ultrason®(PSU/PES):高温環境下での使用に適したポリスルホン系樹脂。
これらの製品は、自動車、電気・電子、医療、包装など多様な産業で利用されています。
樹脂・添加剤
BASFは、以下の分野で高品質な樹脂や添加剤を提供しています:
- 建築用塗料・コーティング:耐候性や耐久性を向上させるアクリルバインダーや樹脂。
- 接着剤:高接着力と柔軟性を兼ね備えたポリマーエマルジョン。
- パッケージング:食品包装などに適した安全性の高い樹脂。
これらの製品は、建築、包装、接着剤、塗料などの分野で広く使用されています。
グローバル拠点
BASFは、世界中に広がる生産・研究開発拠点を通じて、グローバルな供給体制を構築しています。
主なVerbund(統合型)拠点
BASFは、6つのVerbund拠点を運営しており、これらは原材料の効率的な利用とエネルギーの最適化を実現しています。(tvservice.basf.com)
- ルートヴィヒスハーフェン(ドイツ):本社所在地であり、世界最大の化学工場。
- アントワープ(ベルギー):ヨーロッパでの主要生産拠点。
- フリーポート(テキサス州、米国):北米市場向けの重要拠点。
- ゲイスマー(ルイジアナ州、米国):北米南部の供給拠点。
- クアンタン(マレーシア):アジア太平洋地域の生産拠点。
- 南京(中国):アジア市場向けの主要拠点。
さらに、中国・湛江では新たなVerbund拠点の建設が進行中で、2025年の稼働開始を予定しています。
日本国内の拠点
BASFは、日本国内に以下の主要拠点を展開しています:
- BASFジャパン株式会社(東京本社):東京都中央区日本橋室町3-4-4 OVOL日本橋ビル3階。
- BASFメタルズジャパン株式会社:東京都港区愛宕2-5-1 愛宕グリーンヒルズMORIタワー24階。
- BASFコーティングスジャパン合同会社:神奈川県横浜市戸塚区下倉田町296。
- BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社:山口県山陽小野田市新沖1-1-1。
- BASFイノアックポリウレタン株式会社:愛知県新城市川田字本郷196。
- N.E.ケムキャット株式会社:東京都港区浜松町2-4-1 世界貿易センタービルディング27階。(BASF)
これらの拠点では、自動車用塗料、バッテリー材料、ポリウレタン製品、貴金属触媒など、多岐にわたる製品の開発・製造・販売が行われています。
サステナビリティと戦略
BASFは、持続可能な未来の実現を目指し、以下の取り組みを行っています:
- Together for Sustainability(TfS):化学業界のサステナビリティ推進イニシアチブに参加し、持続可能なサプライチェーンの構築を目指しています。
- 研究開発投資:2024年には21億ユーロを研究開発に投資し、2025年も同水準の投資を計画しています。
- ポートフォリオの再編:農業化学品事業の一部上場やバッテリー材料事業の分離を検討し、コア事業への集中を図っています。
財務情報(2025年)
2025年第1四半期の業績は以下の通りです:
- 売上高:174億ユーロ(前年同期比1.5%減)
- EBITDA(特別項目除く):26億ユーロ(前年同期比3.2%減)
- 純利益:8億800万ユーロ(前年同期比41%減)
BASFは、2025年通期のEBITDA(特別項目除く)を80億〜84億ユーロ、フリーキャッシュフローを4億〜8億ユーロと予想しています。
BASFは、150年以上の歴史を持つ化学業界のリーダーとして、革新的な製品と持続可能な取り組みを通じて、世界中の産業と社会に貢献し続けています。