
はじめに
PEEK(Polyether Ether Ketone)は、スーパーエンジニアリングプラスチックの中でも最高級の性能を誇る熱可塑性樹脂です。
高耐熱性(約260°Cの連続使用温度)、優れた耐薬品性、寸法安定性、耐摩耗性を有し、
金属代替や高機能部品に使用される戦略素材です。
航空宇宙、自動車、電子、医療、半導体分野など、ハイエンド市場に特化した樹脂で、今後の成長が期待されています。
市場規模の推移(2022年~2025年予測)
年度 | 市場規模(米ドル) | 備考 |
---|---|---|
2022年 | 約7.8億ドル | 半導体および医療用途が牽引 |
2023年 | 約8.3億ドル | EV部品の需要増が追い風 |
2024年(推定) | 約8.9億ドル | 欧米市場の復調 |
2025年予測 | 約9.6億ドル(CAGR:7.1%) | 半導体装置・5G分野で加速 |
PEEK市場は依然としてニッチですが、世界的に高付加価値製品への採用が拡大しています。
価格推移(参考:アジア市場中心)
- 2023年平均価格: 約65〜70 USD/kg
- 2024年後半: 約68 USD/kg前後(安定推移)
- 2025年見通し: 約70〜72 USD/kg(原料コスト上昇の影響)
原油価格や為替変動の影響を受けつつも、PEEKの供給は限られており、価格は比較的安定しています。
主要用途別の需要動向
- 航空宇宙: 軽量・高温部品として需要が継続。
- 自動車(EV): 電気絶縁部材や電池モジュール部品に採用。
- 半導体: エッチング装置・搬送トレイなどで急増。
- 医療: 滅菌可能なインプラントやデンタル部品に使用。
地域別市場トレンド
- 欧州: 医療・航空宇宙での需要増。
- アジア: 半導体やEV市場の成長が牽引。
- 北米: クリーンルーム対応素材として安定需要。
市場課題と将来展望
課題: 高価格帯ゆえの導入障壁、グローバルサプライの限定性。
展望: クリーン技術や再生可能エネルギー機器における採用で成長の余地大。