化学用語 用語集

過酸化物(peroxide)とは

過酸化物(peroxide)とは2つの酸素原子が単結合によって結合している構造を持つ化合物です。過酸化物はペルオキシドとも呼ばれています。過酸化物の一方の酸素がアルキル基によって置換され、他方は水素が結合している場合にはヒドロペルオキシドと呼びます。最も単純な過酸化物は過酸化水素で、分子式はH2O2です。有機化学では酸化剤としてt-ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)やクメンヒドロペルオキシドもよく応用されています。 

過酸化物はラジカル活性種を発生させる性質があり、一般的に高い酸化力を持ちます。酸素-酸素の単結合は結合エネルギーが低く、熱や光によってホモリシスを起こりやすいからです。結合の切断によって発生したフリーラジカルが連鎖反応を引き起こします。ラジカル連鎖反応は発熱反応で、過酸化物のラジカル反応では酸素などのガスの発生を伴うことが多いことから取り扱いや保管には注意が必要です。 

高分子合成では過酸化物がラジカル重合開始剤としてよく用いられています。過酸化ベンゾイルや過酸化ラウロイルが古くから用いられている開始剤です。近年では安全性を考慮してAIBNなどのアゾ化合物のラジカル重合開始剤が使われるようになってきています。

このページに掲載されている企業・商品・材料等情報は、当協会が各企業の公式ホームページに掲載されている情報等を収集した上で、掲載を行っております。情報を精査し正しい情報掲載をしておりますが、当協会がそれを保証するものではありません(情報に誤りがあった場合は、お問合せフォームよりご連絡ください)。また、各種引用元のデータの変更、追加、削除などにより生じる情報の差異について、当協会は一切の責任を負わないものとします。当協会は、当サイトの掲載情報から直接的、または間接的に発生したと思われるいかなる損害についても責任を負わないものとします。  

-化学用語, 用語集
-,

関連記事

lca cfp

アミノ酸(amino acid)とは

アミノ酸(amino acid)とはアミノ基とカルボキシル基を有する化合物です。狭義ではアミノ基とカルボキシル基が同じ炭素原子に結合しているα-アミノ酸を指しますが、隣接する炭素にそれぞれアミノ基とカ …

lca cfp

海洋生分解性プラスチック(marine biodegradable plastic)とは

海洋生分解性プラスチック(marine biodegradable plastic)とは生分解性プラスチックの中で、海洋でも生分解を受けて最終的には水と二酸化炭素に分解されるプラスチックです。生分解性 …

lca cfp

原子効率の指標とも呼ばれるアトムエコノミー

アトムエコノミー(atom economy)とは原子効率とも呼ばれる指標で、原料に対して生成物に残される分子量の割合を指します。バリー・トロストによって提唱されてからグリーンケミストリーにおいて重要な …

lca cfp

【射出成形】ヒケとボイドの不良原因と改善対策

ヒケ(sink mark)は、一般的に肉厚が厚い部分を有する成形品において、またはリブ、ボス、内部フィレットなどの場所で樹脂の収縮によって発生する局所的な表面凹み関する成形不良です。また、表面にヒケが …

lca cfp

光学純度(optical purity)とは

光学純度(optical purity)とは比旋光度の測定によって+体とー体の比率を求めることで導き出した光学活性体試料の純度です。光学活性体の旋光度はプラスまたはマイナスで同じ絶対値を持ちます。光学 …