化学用語 用語集

共有結合(covalent bonding)とは

共有結合(covalent bonding)とは原子と原子の間に形成される化学結合の一種で、結合に関与する電子対を共有する仕組みになっています。一般的には2つの原子の両方から価電子が出されて共有されることにより共有結合になります。自然界に存在する化学結合として最もポピュラーで、大半の化合物の形成や構造維持に寄与しているのは共有結合です。

一方の原子から電子対が供与される場合には配位結合と呼ばれ、共有結合の中の特殊なケースとして取り扱われるのが通例です。三中心二電子結合も広い意味では共有結合に含まれます。
共有結合は結合エネルギーが高くて安定なのが特徴です。共有結合の種類として主なのがσ結合とπ結合で、σ結合はπ結合よりも高い結合エネルギーを持ちます。H-HやCH3-CH3といった飽和結合がσ結合です。CH2=CH2やCH≡CHのような不飽和結合ではσ結合とπ結合が同時に形成されています。そのため、π結合は比較的切断しやすいですが、切断してもσ結合が残るので共有結合は維持されます。

この特性を利用して、ポリマー合成ではπ結合のみを切断して新しい共有結合を作るラジカル重合がよく用いられています。ポリマーを構成する化学結合ではほとんどが共有結合です。安定性が高いことがポリマー合成で共有結合がよく用いられている理由です。

このページに掲載されている企業・商品・材料等情報は、当協会が各企業の公式ホームページに掲載されている情報等を収集した上で、掲載を行っております。情報を精査し正しい情報掲載をしておりますが、当協会がそれを保証するものではありません(情報に誤りがあった場合は、お問合せフォームよりご連絡ください)。また、各種引用元のデータの変更、追加、削除などにより生じる情報の差異について、当協会は一切の責任を負わないものとします。当協会は、当サイトの掲載情報から直接的、または間接的に発生したと思われるいかなる損害についても責任を負わないものとします。  

-化学用語, 用語集
-,

関連記事

lca cfp

共鳴構造(resonance structure)とは

共鳴構造(resonance structure)とはポーリングによって提唱された共鳴理論に基づく一連の化学構造で、個々の構造式は極限構造式とも呼ばれています。分子構造をルイス構造式で記述しようとした …

lca cfp

三ふっ化窒素(NF₃/nitrogen trifluoride)とは

三ふっ化窒素(NF₃)は1つの窒素原子と3つのフッ素原子から成る化合物です。常温常圧で無色の気体で、不燃性で無臭の気体として活用されています。皮膚や粘膜への短時間の接触による毒性は低いですが、吸入時に …

lca cfp

【射出成形】シルバーストリークの不良原因と対策

目次1 シルバーストリーク(Silver streaks)とは2 シルバーストリーク(Silver streaks)の主な不良原因3 シルバーストリーク(Silver streaks)の不良対策 シル …

lca cfp

揮発性(volatility)とは

揮発性(volatility)とは主に常温常圧で蒸発しやすい性質です。液体は沸点以上の温度にすれば気体に相転移します。しかし、液体の表面では少しずつ気体に相転移して拡散していく気化現象も起こっています …

lca cfp

パーフルオロカーボン類(PFCs/perfluorocarbons)とは

パーフルオロカーボン類(PFCs)は炭素原子とフッ素原子から構成される化合物で、フロン類の一種です。パーフルオロカーボン類に含まれる物質として代表的なのはPFC-14(CF4)、PFC-116(C2F …